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私にも書かせろ

実家の建て替えも終盤に差し掛かってきたようだ。
これがイメージ図です。あくまでイメージね。
施行前からこの図はできてたし、ジャン妻は美人建築士さんと見ながらあーだこーだやってたんだけど、私は全く興味を示さなかった。
建築士さんから「ご覧になりますか?」って言われても「いいよ。任せる」だったのです。8か月経って11月末にやっとどんな外装なのか見ようかなって気になった。
イメージ1イメージ2
「へぇ、こんなんなんだ。意外と地味だな」
「今まで見ようともしなかったクセに」
「でもこの図だとお隣とか写ってないから、実際はもっとゴチャゴチャしてるんだろうな」
私の持論ですが、家だけでなく家の周囲の風景、お隣さんとか、迷惑にならない範囲で挿入した方がいいと思うのだが。
業者はあくまでウチの家を建てる=売るのが目的なんだな。周辺まで図にいれたら差し障りもあるんだろうよ。

https://junky.fc2.net/blog-entry-244.html
この記事で、施工業者から中間アンケートの依頼が来てたのをジャン妻が私に見せずに出した件に触れましたが。
「何で私に見せない。回答させない?」
「アナタにやらせたら何を言い出すか、何を書くかわからないからよ」
危険だというのです。
私は施主である。私の目を通さず業者に出すなど断じて許されない。
「私にも書かせろ。回答させろ」
「・・・」
「見せろ、よこせ、追加で書いてやるから」
あとから回答してやったのです。
アンケート表紙
「アンケートのお願い、ご着工後
よりよい満足ある住まいづくりのため、お客様のお声をお聞かせください。」
ってあるじゃないか。では私の声を聞かせてあげますよ。

貴社の「アンケートのお願い」ですが。
家人が私に見せずに感想を提出したのを昨夜知りギュウギュウに問い詰めました。「施主は私だぞ。無視すんな。回答させんかい」とねじ込みました。
手書きでは面倒なので質問事項と回答を入力します。

Q1、弊社のどのような点がご契約の決め手となりましたか。当てはまるものに〇をつけてください。(複数回答可)

A、住宅の機能、
1、断熱、機密性能、
2、遮音性能、
3、耐震耐久性能、
4、防犯性能、
5、健康住宅、
6、バリアフリー住宅、
7、木造パネル住宅、
8、省エネ住宅、
9、木造サッシガラス窓、

「1、2、3、4、9だね」

次にB、事前の体験、口コミなど
10、建築現場の構造見学、
11、入居者宅見学、
12,近くの建築例、
13、展示場見学、
14、夏至祭、クリスマスパーティーイベント、
15、宿泊体験、
16、知人からの推薦紹介、

「これは10だね。最初に出向いた平沼橋の展示場ですよ。お隣のピカチュウの着ぐるみきて客引きしてた品の無いメーカーには絶対にしたくなかったね。」

お次はC、住宅デザイン、
17、外観デザイン、
18、内装デザイン、
19、気に入った間取り、
これは19にした。部屋数は少ないが、端から端まで見渡せる間取りになっているのです。

D、会社、担当者、
20、納得価格、
21、アフターメンテナンス体制、
22、会社の規模、実績、
24、営業担当者、
25、設計担当者、
26、営業店長、
28、展示場アシスタント、

「Dー21、25、25、26だね。
ご縁があって良かったとは思ってるよ。皆さんお若くて爽やかなのに驚いたのと、今はもう昔ながらの晒とねじり鉢巻きを巻いた親方と留の時代じゃないんだなってのがよくわかった。
だが、弟夫婦も貴社を訪問したが、出てきた営業さんが気に入らなかったらしいぞ。別のメーカーさんにしたそうです。」

Q2、当社以外で深く検討した住宅メーカーはございましたか?
「貴社以外で検討したメーカーはないです。実家の母(故人)は地元の〇〇ホームや工務店と付き合いがあった。」

Q3、弊社を総合的に見てどのようにお感じですか?
「未だわかりませんよ。これからだね。」

Q4、これまでの弊社の対応についてどのようにお感じですか。マナーや身だしなみ、専門知識、ご説明提案など。
(たいへん満足、だいたい満足、やや不満、不満とあった。)
1.営業担当者、
「だいたい満足だが。概ねだよ。だいたいだよ。」
2.設計担当者、
「だいたい満足だが・・・」
この・・・で終わってるのが私のイヤらしいところですが。
3.工事担当者、
「これは現場監督の〇〇さん(お猿さん)のことかな?
大変満足しています。ウチも女性従業員がウヨウヨと多過ぎるくらいいるので似たような社員がいます。私の琴線に触れるキャラです。」

お猿さんキャラで気に入っただけだよ。モンキーとかエテ公とか書いてないですよ。
こうも書き加えといた。

「こういうアンケートを取るのは自信があるからなんだろうけど、心無い回答が返ってきたらどうするのさ。皆さんメンタル強いですね。」

4.インテリアコーディネーター、
「どの方かよくワカランです」
5.展示場アシスタント、
「展示場という祭事が大、大、大、大っ嫌いなので無回答」
6.建築現場の職人、
「だいたい満足、隣にお住まいの人が、ジャンさんいい職人さんを使ってらっしゃるわねぇ。ウチんときはもう荒っぽくてと言っていたよ」

Q5、現在までの家づくりに関してご不明点、ご質問などがございましたらお聞かせください。
「家づくりの不明点?こっちは素人なので全部が不明です。質問の仕方すらわからない。」

Q6、今後、お引渡しまでの間でお聞きになりたい点、ご要望などございましたらお聞かせください。
「早く完成させて移りたいね。
秀吉の一夜城みたいに早くできないのか、早く完成させないと敵が攻めて来るぞと言ったら家人に怒られたが、叶わないまでも言うだけならいいだろ。」

Q7、弊社の商品、サービスについてお気づきの点はご意見などございましたらお聞かせください。
「上棟のとき現地でBu-Bu-言ったが、ブルーシート他に掲示した貴社の広告が目立ち過ぎるよ。」
顕示欲
「あれでは近隣の住民にやっかまれるは必定だ。事前に知ってたら止めてたよ。
自社顕示が強過ぎやしないか。鼻につく。
でもそういう社風なら仕方がない。家を造る=家を売るのが目的なのは理解しています。」
「それといつも渡されるあの紙袋、スカンジナビア十字デザインはイマイチ好きくないな。あれを外で持ち歩いてると知ってる人が見たら金持ちだと誤解されかねない。無地でいいのです。」
「だからといって貴社が嫌いなわけではないです。ABBA、ヨーロッパ(北欧メタル)、イングウエイ・マルムスティーンを知ってる。
自室にストルシェン湖に棲むUMA(未確認動物)が10数頁載ってる書籍があります。
ムーミンは子供の頃に見たな。」

このストルシェン湖のUMAはストーシーという名前で知られていますが、私の書籍にはネーミングはなかった。
凍る湖なので爬虫類では生息できないだろうな。哺乳類だと思っています。

ジャン妻に見せたら、
(―“―;)
苦虫を噛み潰しとった。
「これぐらいならいいだろ」

本文と関係ないけど、送った日の夕餉だよ。
ジャン妻がハンバーグつくるのって珍しいのよ。
「お外で食べた方が美味しい。家だと上手くできない」
付け合わせにジャガイモとニンジンのソテーをお願いしたら、あろことかコフキイモにしやがってさ。
家食1家食2家食3家食4家食6
いずれ会社を引退したら外食は減るので、こういう手料理写真が増えていくかもしれない。今から練習?しとかないと。
「それには料理の見栄えが大事だ」
「・・・」
「テーブルクロスも白いのがいい」
「白いのはちょっとねぇ」

業者さんから返信が来たよ。美人建築士さんから。
「アンケートのご回答、ありがとうございます!
お客様からのアンケートはいつも有難く拝見しております。
時には厳しいご意見をいただくこともありますが、今後の糧とするためにご回答いただいたアンケートはすべて目を通しております。
ジャン様からのご意見も大変参考になります。
公告は宣伝の意味もありますが、メーカーの名前を出すことで近隣の方に見られている意識をもって丁寧に作業をしよう、という意味もございます。
大きさはこれしかないので、何卒ご容赦くださいませ・・・。」
最後の・・・は何だ?
次に支店長さんから、
「お忙しい所、ご丁寧にアンケートについてご意見をお聞かせいただき有難うございます。
9年連続満足度No.1という大変光栄な事ではございますが、まだまだ改善できる点はあると思いますので、皆様からの貴重なご意見を今後の参考にさせていただいております。
弟様ご夫婦様へのご対応について、私の指導不足も原因かと思います。
ご満足いただけるご提案ができずに大変申し訳ございませんでした・・・」
それと、私に不興な会社広告についても、
「ブルーシートの広告は、もう少しシンプルなデザインもあったら良いと会社に改善提案してみようと思います。
ありがとうございました。」
「・・・2人してこのてんてん・・・は何だ。」
「そりゃ困惑してるのよ。」
気に入らない3気に入らない4気に入らない1
エテ公(女性の現場監督)からは返信がきていない。いちばんお気に入りなのに。
「まさかお猿とかエテ公とか書いてないでしょーね」
「書いてないよ。そんなことまで心配なのか?」
「アナタは放っておくと何を言い出すかわからないし何をしでかすかわからないし何を書くかわからないからね」
お猿さんは現場監督なので工事に関することしか請け負わないのだろうな。アンケートとかは営業の職掌だし。
さて、建物とは別に近隣住民様と折衝しなくてはならない件があるのだ。
これです。ゴミ出し場。
ゴミ出し場1
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ウチを広告塔にするな

工事は順調に進んでいるようだ。
遅れるとかそういう連絡は入ってない。
日本の夏場が長引き、総雨量が増えてるから、悪天候を考慮して工程に余裕を持たせてるのだろう。
見に行ってもじゃまになるだけだが、ある日の午後、休日に執務した時間調整で早く上がって見に行ったら、こんなウルトラ重機がデンと鎮座していた。
ウルトラ重機
現場監督が私に気づいて寄ってきた。何と!小柄な女性!陽に焼けた小顔、目がクリッとしたお猿さんみたいな女性です。
陽に焼けてるから年齢がわからない。若い女性にしておこう。
挨拶されたけど固かった。
「そりゃアナタが緊張させてるのよ」(ジャン妻)
監督が若い女性、設計した建築士も若い女性、現場に来ている見習いも若い女性、職人さんたちも若そう。昨日も書いたが額に捩じり鉢巻、腹に晒を巻いて耳に赤鉛筆挟んで、
「おう留ぇ、シンナーに気ぃつけてぇ、壁塗れやぁ」
「わっかりましたぁ、親方ぁ」
(スネークマンショー?)
そんな昔ながらの大工、棟梁といった感じじゃないのだ。爽やかな職人さんが多い。
後でそこんとこを現場監督(以下、お猿さん)に言ったら、

「弊社で使う職人さんは、特に年齢制限や国籍は定めていないので、各工務店さんごとに年齢層は異なります。
弊社の建物自体が他社とは違うところがかなり多く、特殊になってるので、大工さんだけでなく、電気屋さんや水道屋さんなども、昔から長くやってくれている60代の職人さんも多くおります。
親子の職人さんがいます。お父さんの方は50代になります。基礎屋さんや塗装屋さんには外国の方々も増えてきておりますね。」
そういう丁寧なお答えをいただいた。

さて、このウルトラ重機、よくここまで自走で入れたな。
ジャン実家近辺は昭和初期の造成地がベースになっているので公道が狭い。すれ違う箇所が決まっているような道で、余所者のくるまが間違って入ってくるとそれがわかってないから難儀することがある。こっちは行違える箇所をわかっていても、他所から来た相手はわからないからね。
このウルトラ重機についてもお猿さんに聞いてみた。
「重機メーカータダノの、ピタゴラス(GR-120F)といいます。総量は14トン、クレーン容量は4.9トンとなります。」
ピタゴラス
どういうルートで入ったのですか?
「最寄り駅の〇〇交差点からは侵入できないので、〇〇街道(県道)から▲▲駅の交差点を南に曲がり、ローソン〇〇〇西店、ローソン〇〇〇南店を経由し侵入しております。」
アナタ(お猿さん)が運転したの?
「いえいえ、重機のオペレーターさん(運転手さん)が運転し、工事敷地に入る最後の曲がり角で誘導員に従いながらバックに切り替えています。」
確かに誘導員が2人いた。
レンタル費用は1日5万円程度とのことだった。

冒頭は自分で撮った写真だが、私は逆光のせいで2回、勘違いをしています。
クレーンのアームで電線を押し曲げたりブチ切ったりして付近一帯が停電しないかと思ったのと、電線と電線の間にアームが入ってるようにも見えたの。
よ~く見たら、敷地内に横付けしているので電線に引っかかりようがなかった。
でもって静かな現場だった。ラジオ音もしない。
昨日も書いたが、今住んでる町内の某現場では若いヤンキー職人がガレージロックをガンガン鳴らして作業してたが翌日には静かになっていた。近隣からクレームがいったんだと思う。
隣に住む奥様様は「ジャンさんいい職人さん使ってらっしゃるわねぇ。ウチん時なんかもう荒っぽくてさ」って言ってた。
それをお猿さんに言ったら、一応は現場のマナールールがあって、
「現場でのラジオは特に禁止しておりませんが、音量には注意するよう指導はしています。
建方工事中は移動範囲が広く、工事中の音も大きいので作業中はラジオを消して、休憩中に付けたり付けなかったりすることが多いです。」
根堀り葉掘り聞いた。お猿さんは丁寧に答えてくれた。こうも言われた。
「興味を持っていただけて幸いです。
次回の正式な立ち合いは完成時になってしまうので、今後もよろしければ現場に足をお運びいただき実際の状況ぜひご覧になっていただければと思います。
お時間合うようでしたら、私もご案内させていただきたいです。」
へぇ、こういうのを営業というんだね。
なかなかいいメーカーさんなのは改めてわかったが、ちと気になることがある。
現場に掲示してある会社名です。
気に入らない1
工事期間、建築基準法に乗っ取った確認事項、建築許可票、労災保険関係成立票、施主である私の名前、メーカー名(業者名)、設計士さんと現場監督(お猿さんのこと)、施工者氏名、管理者氏名、そういうのは必須なんだろうけどさ。
気に入らない2
会社名のアピールが過ぎる。
デカ過ぎ、ハデ過ぎ、目立ち過ぎなのだ。特にこのブルーの養生シート、
気に入らない3
会社名がデカデカ、実績を誇示しまくりで鼻につく。こんなんは近隣住民を刺激するだけだ。やっかまれるじゃないかって。
こんなのを出すなんて聞いてないぞ。

自分が撮った写真とは別に、9月12日にお猿さん(現場監督)から送られてきた工事現場写真がこれ。
送ってきた写真1送ってきた写真2送ってきた写真5送ってきた写真4送ってきた写真6送ってきた写真11
これがメールで届いたときの私の返信は、
「秀吉の一夜城みたいにひと晩でできないのか?」
ついに言ってしまった。そう送ったのだが完全にスルーされた。返信が無かったのである。
「失礼なヤツらだ」
「何でそういう言いがかりみたいなのを送るのよ」(ジャン妻)
「監督がお猿さんだから藤吉郎=猿だろ。施主を無視しやがって」
それでいてこっちへの要求、お願い事項はメールでよこすんですよ。今度は支店長さん(男性)から振り込み依頼がきた。https://junky.fc2.net/blog-entry-54.html この記事で展示場で会った人です。

「水道業者さんより水道局納金のお知らせが届きましたのでお送りさせていただきました。
お忙しい所、誠に恐れ入りますが、添付の口座へお振込み下さいます様、お願い申し上げます。
尚、資金計画書にて水道局納金30000円で予算取りされていた項目です。」

現場で使う水の料金はこっち持ちですからね。でも30000円で足りんのかな。
ジャン妻はこうやって、私を置いてけぼりにして業者と打ち合わせしているのです。私が関わると、一夜城だの突貫工事だの、早く築かないと敵が攻めてくるじゃないかとか、何をヘンなことを言いだすかわからないからと。
ジャン妻は水道料金入金の返信に追記して、
「上棟打ち合わせをいつにするか聞いてみよ」
「上棟打ち合わせ?」
また何か打ち合わせがあるのか。

「工事は順調に進捗しているようで安心いたしました。←(こういう文言が大事らしいね。)
上棟打ち合わせですが、9月中旬は出張予定が入りそうでして、日程がある程度絞れているなら予めお知らせいただきたくご連絡しました。
まだ未確定でしたよね。
工事の進捗予定を擦り合わせまして、9月〇〇日の14時以降、あるいは9月〇〇日(土)の15時以降は如何でしょうか?」

「・・・って送ったけど、〇〇日でいい?」
「いいよ。予備の〇〇日はさらに泊まった翌日だな」
「その日でも午後には戻れるでしょ。でも第一候補は〇〇日の方がいいよね」
さらでカツオとサザエを食べたね。慌ただしいことだ。
私は上棟の意味がわからないので自分で調べたよ。このトシで知らないのは恥ずかしいが調べりゃいいんだ。上棟ってのは・・・他から抜粋するよ。建物の造営が成就した際に執り行われる建築儀礼で、棟上げ、建前ともいうんだって。
竣工した後も建物が無事であるよう願って執り行われる?
「屋根ができた段階でやるのよ」
ジャン妻は不動産関係にいたせいか私より詳しい。柱、梁、屋根といった基本的な構造が完成して棟木を上げるときに行われる。
「上棟式ってまさか神主でも呼ぶんかい?」
「そこまでやらないわよ」
ウチは地鎮祭もやってないし。祭壇でも設けてお祓い、祭祀でもやるのかと。酒でも喰らうのかと思ったよ。
「今ある写真だとまだ屋根ができてないが、式なんてできんのか?」
「式じゃなくて打ち合わせよ」
「私も必要なのか」
「当然でしょ!施主なんだから」
どうもまた何かしら書類にサインでもさせられるのかな。めんどいな。ジャン妻が代筆してくれりゃいいのに。
そしたらお猿さんからジャン妻に連絡がきた。
「現在、基礎工事が完了し、建て方工事(躯体組み)する前の足場組まで完了しております。
来週から床組の予定ですが、週明け月曜が大雨予報の為、火曜日以降で天候を見ながら進める予定です。
その後、1階の壁組、屋根組となります。12日~15日で行う予定です。上棟はその後になります。」
「屋根ができてないと上棟にならないってわけだ。」
この期に及んでまだ私はわかってないのです。
「そりゃそうよ。で、上棟打ち合わせは9月〇〇日(月祝)14時~になったわ」
先方から来る様々な連絡事項はジャン妻にToで、私は施主なのにCCかよと勘違いした。それってどうなのよって。
「まだ家はできないのかとか、秀吉の一夜城とか、旗の柄(スカンジナビア十字)が気に入らないとか、ロクなこと言わないからよ」
実際は私にもToだったのです。CCじゃなかった。それをいいことに上棟の当日、またトンでもない爆弾を落とすことになるのだ。

その日が近づいた。
上棟はあくまで「屋根ができました」の確認みたいなもので、そこでする今後の打ち合わせが大事らしい。
「まだ打ち合わせがあるのか」
「内装の細かい造作よ。屋根が出来たから打ち合わせするのよ」
「この炎天下にか。ウチに来ればいいじゃないか」
「現場で見ながら打ち合わせするのよっ。もうアナタ、上棟が確認できたら帰っていいから」
何を打ち合わせるかというと、お猿さんや美人建築士が言うには、
「当日はスイッチ、コンセント、造作棚関係の高さ、位置の最終確認となります。
その後、外構業者さんをお呼び致しました。現地にて外構プランの続きのお打ち合わせも予定しております。
また、太陽光発電システムの手続きにご主人(私のこと)の印鑑証明書が必要となります。当日に一通、お持ちいただけますでしょうか。」
また印鑑証明を取りに行かなきゃなんいのか。あと何通必要なんだろう。

上棟打ち合わせまでに印鑑証明書1通を用意するとして、ジャン妻の追加要求は、
「当日は造作棚関係の位置確定とのことですが、本棚として追加してもらいたいと思っている箇所がありますのでそのご相談もさせてほしいです。
具体的には寝室のクローゼット側出入口の右側角部分と、ベッドヘッドになるように作成してもらう棚の下を考えています。
こちらは現在ニッチを作成する予定となっていますが、いっそベッドの部分以外の左右はオープン棚にしてはどうかと思いまして。」
ベッドヘッド?ニッチ?何のことかサッパリである。
上棟1
上棟日に現場に行ったら、美人建築士さん、現場監督のお猿さん、内装のコーディネーターさん、見習いの子、全員が女性だった。ノンマスクだったんですよ。素顔を初めて見た。
私は敷地内に入らず公道からジロジロ見てたら、小顔のお猿さん監督がやってきたので、
「これさぁ」
「???」
「貴社名の表示がデカ過ぎやしねぇか」
気に入らない4
「・・・」
「派手過ぎだっ。ウチは貴社の広告塔かよ」
そしたらお猿さんもさるもので、
「ハイッ(笑)」
「ハイって言ったな」
「ハイッ(笑)」
あしらわれたのである。このエテ公め。
コイツらは家を建てに来てるのか、家を売りに来てるのか、どっちなんだって。後者なんだよね。
私はエテ公にあしらわれて憮然としてます。眉間に入った力が抜けない。
中に入ったらこんな感じで。
上棟2上棟3上棟5
じーっと見てたら、
「如何ですか?」
おそるおそる聞かれた。
「いや、ホントに自分がここに住むのかと。いまいち実感がわかない。で、今日は何枚署名捺印すればいいんだ?」
そしたら請求書を渡された。それは中間支払いのようなものだ。
「本来なら〇〇(支店長)が持参すべきなのですが流行り病にかかってしまいまして。支払いはできれば週明けの(金)までにお願いできますか?」
「今度の(金)ってどっかの木に行く日じゃないか?」
「行く前、午前中に振り込めるわよ」
そういうジャン妻は私のぶっちょう面と態度に辟易している。
結局、この日はサインする書類は無かったのである。
「今日はサインはしないんだな」
「ハイ、今日は要りません」
「じゃぁ私は何しにここへ来たんだ。貴社の誇大広告に文句をつけにきただけじゃねぇか」
私は養生シートその他の会社広告が気に入らないのでまだ眉間に力が入っている。広告が貼ってある養生シートをビリビリと引き剥がしたい気分が抜けない。
見かねたジャン妻が、
「もう今日は帰って。後はアタシがやるから」
(―“―;) ← ジャン妻のカオ、
その日の夕餉ですが。
寿司1
寿司2寿司3銘酒
上棟だから?地元の寿司屋さんから出前を取りました。
ジャン妻は夕方戻ってきた。手に一升瓶を持って。
「また松竹梅?」
「そうよ」
これで2回めである。安酒だな。まだ4月の定年祝いに貰った日本酒があるから料理酒にするか。
「歩いてきたので重かった~」
「くるまで送って貰わなかったのか。気の利かない連中だな」
「いやいや、支店長が流行り病で来れなかったでしょ。彼女たち電車で来たんだって」

ジャン妻は寿司にご満悦だけど、さっきの私の態度にカオを、眉を、眉間をしかめて、
「何でああいう絡み方をするのよ」
「思った感想を言っただけだ。デカデカと近隣にアピールしてるみたいでヤダ。その辺の工務店はあそこまでやんないぞ」
「大手工務店はああやってアピールするものなのよ。〇さん(ジャン弟)のとこの〇〇工務店だって」
「事前に話はなかった」
「・・・(溜息)・・・もうあーいうことは止めてっ」

設計士からメールがきた。

「公告は宣伝の意味もありますが、弊社の名前を大きく出すことで、近隣の方に見られている意識をもって、丁寧に作業をしよう、という意味もございます。
大きさはあれしかないので何卒ご容赦くださいませ。」

詫びのようだが、言い訳にしか聞こえない。そのメールを見たジャン妻は、
「ホラァっ。ああいうひとたちは、施主さんや奥さんから施行上の問題を指摘されたり、クレームになったり、仕上がってから文句を言われるのを怖れてるのよ」
「私は造作とか仕上がりに文句を言ったことは一度もないぞ」
ここ大事、私は養生シートにデカデカと貼られた施行会社のアピール広告に文句をつけましたが、工事そのものに質問や口出したことは一度もない。「任せる!」だけです。
だけどジャン妻は随分と庇うな。向こうの味方か。
「彼らは怒られ営業みたいなもんだろ」
「イヤな年寄と思われるから止めてね」
だが寿司と酒がススンで、私の悪態テンションは止まらない。
「設計士が女性で現場監督も女性で年齢も近かったよな。あの2人は絶対仲が悪いぞ。内勤と現場だからカラーの違いだ。お猿さん(監督)にしてみりゃ、アタシはアナタ(設計士)と違って炎天下で作業して陽に炙られて真っ黒に日焼けしてのに、アナタはエアコンの効いた涼しい室内にいるじゃないって。」
「いい加減にしなさい」
いい加減にしろ

夏の建築現場

家を出て、最寄り駅に向かう途中、知らない人の家の新築現場の前を通る。
若いのが数人で基礎工事をしとったが、ラジオかラジカセ(まだそういう機器あるのか)でガレージロックをガンガン鳴らしながら作業しておったよ。
その町内は生活ルールに厳しい界隈でプライドが高いと聞いたことがある。私がかつて参加していた町内会自治会の隣なのだが、ウチの町内会も気を遣ってた。
あんな大音量でガンガン流したら近隣から苦情が出るは必定である。都会の工事現場じゃないんだから。暗騒音が無いんだ。
そこの住民でない私も顔をしかめた。工事の騒音なら隣人も「こういうときはお互い様」だがBGMは余計であろう。まだニッポン放送とかのラジオ放送の方がマシだと思う。

その先、駅に近いところにもう1か所、工事現場があって、そこでは2台の重機で解体していた。作業員は3人でいずれもどっかの外国人、お国は何処かなぁ。日本人の親方、監督者はいなかった。
台風や大雨の影響で、差し迫った厳しい工程をクリアせんと勤しんでいた。

そこから最寄駅まで徒歩数分で駅の向こう側、地図で見ると南側へ2つ隔てた町にジャン実家の工事現場があるんだけど、まさかウチの工事業者もあんなデカい音量でBGM流したりしてないだろうなと危惧した。
別に外国人労働者でもいい。私は偏見はない。ただ、静かな住宅地なので、BGM流したり、何処の国かわかんない言語でうるさく喋ってると耳障りかもしれない。

そんな懸念をすることで初めて工事現場を見に行こうじゃないかという気になったのよ。出勤前だが、どっかに直行すれば取り戻せるしね。
私は地縄以降、現場を見にいっていないのです。
https://junky.fc2.net/blog-entry-131.html
出勤途中なので徒歩です。くるまじゃない。くるまで行ってもおそらく敷地内は泥だらけだし、作業車が入ってるだろう。
暑いので駅チカのコンビニでペットボトルを購入して差し入れることにした。

植木職人でも電気屋でも、ジャン母は必ず何かドリンクを、御茶菓子を用意していましたね。私に買いに行かせたりもしてた。お茶でもいい。リポDとかでもいい。
コンビニでペットボトルを8本、柿の種を2袋、買った。
「袋はご要り用ですか?」
見りゃわかんだろーが。
「要るね。重たいからね」
相手はマニュアル通りに言っただけである。「袋はご要り用ですよね?」になったら押し付けるのかと誤解され、客によってはヤバい展開になるからだろう。

4本ずつ、2つに分けて持って歩いた。2袋以外に己のカバンもあるんですよ。重かった。
何で8本買ったのか自分でもワカラン。人数分足りないより余った方がいいだろうと思ったのと、8本が限界で、10本は持てなかったのもある。
炎天下を実家の現場に向かって歩いた。

いつも言うけど、
「カボチャが馬車になって馬車だけ見ればいいんだ」、
女性建築士がCD、3Dでイメージ図を見せようとしたときも固辞して見てないのです。
建築士さんは、施主のクセにこれから建つ自分の家がどんなのか見ようともしない、興味を示さない私に消沈したかもしれない。
もっともジャン妻が私の知らない部分を含めてイメージを掴んでいるので、工事上の心配はしていない。
イメージ図を見たら見たでまたあーだこーだ言ってしまうだろう。いや、じーっと黙ってるかもしれないな。でもイメージ図を見せられても描かれているのはウチだけで、お隣さんとかは描かれてないから実際と乖離していると思う。ダダっ広い草原に1軒の平屋が描かれているだけだろう。
「お隣さんが写ってねぇじゃねぇか。こんなんじゃわからん」
余計なことを言ってガッカリさせるだけである。

そういう余計なことを言わなきゃいいのだが、このトシになって、どうも何でもかんでもクサしたくなる困った性(サガ)が出るようになった。
藤沢周平さんの晩年の作品「野菊守り」の主人公、斎部五郎助みたいである。五郎助は初老に入って心中に抱えた鬱屈したものが表に出るようになった。何でもかんでもクサしたくなる。
私も冷笑癖があって、周囲が持ち上げても「バカじゃねぇのか」とクサすのである。思うだけではなく口に出るのです。
「それではこれで今日の何々は終了します」この何々が、MTGだったり説明会だったりする。散会になったタイミングで立ち上がり「くだらねぇ」口に出てしまう。
女性社員が土産のお菓子を持って来ようものなら、
「いらねぇ。そんな甘いモンが喰えるか」
私の嗜好を知らない?女性社員かアイスクリームを「食べませんか?」薦められたら、
「いらねぇ。アイスなんか喰ったら後で喉が乾くだろ」
こないだなんか、外出しようとしたら女性社員が、
「行ってらっしゃいませぇ」
「うるせぇな!」
言った子はビクンとすくみあがっちゃって。
「そんなん言われなくなって行くさ。行きゃいいんだろ行きゃ」
そう言い捨てて出た後で、さすがに自分でも今のはどうかなぁと思ったが。どーにもならんな。
このままだと嫌味な老人になる。いや、もうなりつつあるのだ。

それでもこうして重たいペットボトルを下げて持って行くだけまだマシだろ。
ところが、現場に行ったら、
基礎21基礎22
職人さんがひとりしかいなかったのである。
「ここの〇〇だが」
「あ、施主様でいらっしゃいますか?」
いらっしゃいますだと?
施主=セシュです。セヌシではない。そう呼ばれるなんて初めてだ。セシュなんて知らなかったし。
「暑い中ひとりでやってんの?」
この横柄な言い方もよくないけどね。
「ハイ、基礎工事はひとりで充分なので」
なぁんだ。8本も買ってきたのに。建築会社め。人工で下請けさんの上前をハネてんじゃねぇだろうな。人数増やしてサッサと進めればいいのにと思った。
しょーがない。両手にブラ下げたペットボトルを渡したのよ。
「8本あるのと、塩分もあるから」
塩分てのは柿の種のことね。そしたら困惑した表情になって、
「あの、ひとりなので、こんなにいただいても」
ひとりぃ?
仲間はどうしたっての?
こっちはひとりでやれなんて言ってないぞ。
そこは言わないでおいて、
「でも持ってきちまったし。これから自分も出社だし。持ってらんねーし」
「ですよね。では、いただきます」
困った風だった。有難迷惑だったかもしれない。トラックの中にクーラーボックスがあって、その中に入れてた。

そしたら前の道を行ったり来たりしていたトラックが諦めて路駐して別の職人さんが下りて来た。先に私の差し入れを受け取った若い職人さんと打ち合わせしてる。それはいいけど、今、渡した差し入れをお裾分けしなさいよ。
「あのさぁ」
2人がこっちを向いた。先の若い職人さんが後からきた職人さんに「こちら、施主様です」と言った。ついでながら言うと、施主ってのは葬儀や法要の当主(喪主)もそういうけど、今回の私みたいに建物の工事を発注した人を指すんだと。
家なんか何回も建てないし私も初めて知った。建築主、発注者でもいいと思う。業者さんや職人さんが建築主様、発注者様と口にし難いのもあって、慣習的に施主様と呼ぶんだろうな。
「今、そちらに渡したドリンク、彼にも分けてあげてくれないかな」
「あ、ハイ」
自分だけで独占すんじゃないと言ったようなものだが。私は最初に声かけした職人さんひとりに進呈しにきたんじゃないぞ。

でも随分と腰の低い職人さんだった。ここに来るまでに私が見た柄の悪い職人ともどは違う。なるほど満足度ナンバーワンの実績を誇るだけあって、質のいい職人を抱えてる業者を選んだんだろう。

お隣のピンポン押した。
ジャン母の生前、お隣の奥様にはお世話になったのだが、この日に訪ねたのはちと相談があってね。
「いい業者さん使ってらっしゃるわね」
「いい業者さん、ですか?」
「言葉使いも丁寧だし。いるんですよ。ウチんときなんかもう荒っぽくて」
昭和後期、平成初期の頃は、昔ながらのこういう大工さん?
施行マンガ3
だが、今、ウチを施行している職人さんたちは、こっちのイメージに近いらしいのだ。
後で登場しますが、現場監督が小柄な若い?女性なんですよ。

施行マンガ4基礎23
8月の盆前ですが、施行業者からジャン妻にメールで中間報告がきていた。
『お世話になっております。
本日で夏季休暇前作業完了致しました。
添付の写真は型枠組までのものとなり、現在は型枠が外れ土が戻されている状態となります。
明日よりスウェーデンハウスの工事部門も〇〇日まで夏季休暇となります。
夏季休暇明けは少し時間が空き、〇〇日より作業開始で、基礎外周部の水道配管作業となります。』

お世話になっておりますね。
「お世話してるよ。早く建てろっての」
「だからぁ、時間がかかるのよ」
基礎24基礎25
盆明けにジャン妻が見にいったのがこの写真です。
基礎26
この日は私も在宅勤務で家にいた。ジャン妻は非番で、朝イチの診察の後で現場を見に行った。
その脚でウン十年お世話になっている地元スーパーに行って鮮魚と肉を購入したのだが、ミートショップで店内で手作りしている弁当があったので、
「お弁当買ってく?」
私はそのラインに気が付かなかったので返信しなかったのよ。そのミートショップ、前は安い肉しか置かなかったんだけど代替わりして、A5クラスの牛肉、鹿児島黒豚、何とかイワイドリとかいいのを置くようになった。店で揚げたり焼いたりしてる惣菜もよう売れてる。
いつしか弁当も置くようになったので、ジャン妻はミートショップの若ママにススメられて購入してきたのがこれ。
弁当1弁当2弁当3弁当4弁当5弁当6弁当7弁当8弁当9弁当10弁当11弁当12弁当14
そりゃミートショップだからとはいえさ。肉ばっかりなんですよ。
バラ肉、トントロ、野菜なんて殆ど入ってない。ジャン妻が野菜入り汁物を急遽、用意したけど、時間が経っているので肉の脂が固まり、私的にはイマイチだったな。
工事現場の職人さんたちも、朝、コンビニで弁当買って、
「昼にこういう冷えたのを食べてんのかね」
「家族の手作り弁当かもしれないでしょ」(ジャン妻)
豚トロ、あまり好きじゃないんだよね。食感が。噛んで噛み終わる頃に旨味が出きって「美味しい」と思うけど、脂が気になる。
「家、まだできてなかっただろ」
「・・・(それには答えず)・・・行ったら2人でやってた」
「ふたりぃ?」
「この後、いよいよパネルをはめ込んでカタチになってくんでしょうね」
「遅ぇなぁ。秀吉の一夜城みたいにひと晩でできんのか」
「!!!」

業者との折衝はジャン妻に任せっきりの私ですが。
私が担当する事項もあるのです。たいしたことじゃないが、近隣住民と話し合わなくちゃならないのだ。でも現時点で私らはジャン実家から離れてるので、町内会班長さんを通すことにした。これについてが目途がついたら書きます。
施行マンガ1施行マンガ2
基礎工事が終了して、壁、屋根の元ができてから上棟になるそうです。
こうやってBlogに書いてますが、最初は「上棟って何だ?何するんだ?」意味を全くわかってない私です。
支店長さんに言われたことがあって、
「基礎工事は見てもつまらないですが、壁や屋根の工事はお時間あればいちど見てください」
そう言われてもなぁ。私だって日中は仕事なんだよ。私をご隠居とでも思ってんのかな。
「気が向いたら見に行くよ」と煙に撒いた。見に行く気はあまりない。クソ暑いのに見に行ってボーッと突っ立っても私の強い視線は業者さんにとってはウザイだけだろう。
だが気分屋の私は「ネタ拾いに見てやるか」そう思って晩夏の頃に見に行ったのよ。
そしたら、
ウルトラ重機
ウルトラ重機?
「まさか、小型の重機でしょ」(ジャン妻)

家具を見に行く

もう家建て替えの打ち合わせもひと段落したと思ったのだが。
平日の金曜日、勤務中にジャン妻から椅子とテーブルの写真がLINEされてきた。
彼女は金曜日は公休日、自由な日、寝ててもマンガ読んでもセミナーで勉強しても仕事しても何してもいい日だが。
何処にいるんだろう?
家具1
これはもしかして書斎の椅子の選定をしてるのかな?
だとすると家具屋?
でも地元にある「家具の大正堂」じゃなさそうだな。
家具2家具3家具4
そしてメッセージがきたんだけど。
「いちばん最初の写真の布地でいこうかと」
これ、原文のままです。主語が無いのだ。
次に来たLINEには、
「大きい方の布」
これしか送ってこない。こっちで正解を誘導しないといけないのだよ。向こうは向こうで、新居の家具に決まってるでしょと、私が理解しているという前提で送ってくるのである。
「ソファーはクリーム色で、椅子はグレーの方?」
「そうですね。織地なので茶色も混じった感じのグレー、肘掛け椅子2つ」
肘掛は別に要らないよ。
「いいけど」
即決して返信したけど、めんどくさくなったんだよね。私の本音は家具なんて何でもいいんです。今すぐに決めなきゃならないのかってなもんです。
写真を見る限りでは書斎の椅子と、食事するテーブルと椅子の選定だな。書斎のデスクは固定で部屋の図面に組み込まれているのです。造作というそうです。
またしばらくしてから、
「110直径のテーブルで確定しました」
110直径とは110mmなんだね。四角いテーブルじゃなくて丸いテーブルに変えたらしい。私は四角くても丸くても何でもいいよと思った。三角形でなければいい。
家具5
「この丸テーブルを埋め尽くすだけの料理が出るのかな?」
「空間に価値があるんですよ」
上手く逃げたな。だがまてよ?110mm直径だと料理の品数、皿数がそんなに置けなくなるってことはないか。
それを言おうとしたら「座り心地がいい椅子ですよ」
テーブルの話がいきなり椅子になったんです。どうも家具屋さんでいろいろ見て舞い上がってるらしいな。
だがその椅子の座り心地なんて私にわかるわけない。その展示場にいないんだから。それを言ったら自分も下見に行くハメになった。建築中に組みこんである家具(造作)と別の家具類を見にね。

ウチらは今の住居であは畳の上の座敷で飲食しています。冬場は炬燵になる。だがもう年齢的に正座(なんてしないけど)や胡坐かいて食事するのは立ち上がりがキツいので、椅子とテーブルにしようとなったんだった。
蕎麦宿でいうところの更科庵から現在の恵明庵に鞍替えたのと同じである。(今は更科庵もテーブル席になったが。)
だがそうなるとやっぱり座り勝手や座った状態でのテーブルの位置、高さとかは展示場で見て座ったりしないとわからないものだ。
ジャン妻は嫌々めんどくさがってる私をその家具屋、ショウルームに連行した。新横浜駅から徒歩10分か15分のとこにある家具業界の最大手、K家具のショウルームに連れていかれたのだ。
K家具なんてのは検索すればわかりますが、愛知県に本社がある会社ですよ。ビッグコミックスピリッツのラブコメ漫画のモデルです。
この家具屋は小売をしていないらしいのだ。私らが建築を委託した建設会社が家具屋と提携していてそこを通して購入、支払いをするらしいのだ。バックマージンの世界に決まってるよ。

横浜市営地下鉄ブルーラインで新横浜駅で地上に出たのだが、そこからがめんどい。
環状2号線沿いに歩くとJR横浜線を跨ぐ陸橋に出るのだが、そこから下りて延々と歩く。1kmはないけど800mはあったと思う。
そこにホテルみたいな展示場があってそれがK家具のショールームだった。
予め予約しておいた女性スタッフさんがいろいろ見せてくれた、というか見せられたのだが、私はテーブルも椅子も何でもいい人間なので、ツマんなかった。どれも同じに見えるのである。
家具4家具5家具6
ベッドの話になった。
「アナタは腰とか肩とか」
そうなのだ。右肩は60肩、左肩は神経痛、さらの木やF山で度々腰痛になったりしてる。
町内会自治会に参加してないのと、会社内でも重たいものは持たせてくれなくなったので、腰痛に見舞われる回数は激減したが。
ベッドを見て回る。寝てもいいらしいがそれは固辞した。
家具1
ベッドのマットを外した状態です。
しなる弓たいなである。固さを調節するらしい。
家具2ベッドの下
どっかの木の小さいベッドに似てるな。
家具3どっかのベッドに似てるな家具7
ジャン妻のようにいろいろ見て選ぶ楽しみ、ワクワク感、そういうのが無いんだよな私には。
営業さんにしてみればツマんない客だと思うよ。
プレゼンが鬱陶しいのよ。宿でも飲食店でも同じとこばっかり行ってる弊害かもしれないな。
ジャン妻は女性スタッフと和やかに話し合ってる。相手は営業だから顧客側を楽しませなきゃいけないみたい。結果、売上に繋がるわけだ。
私はツマんないのでその辺を闊歩してショウルームの奥まで歩いてったら、こんなデスクがあった。
家具8
さっきまでどの家具にも見向きもせず座ったりしなかったのに、このエラそうなデスクを前に椅子に座ってみたのよ。
デスクに踏ん反り返った目線です。
家具9
何だか偉くなった気分だ。
なるほど椅子とデスクは座る者の地位を現わすというがホントだな。
「何をやってるの?」(ジャン妻)
「見てのとおり座ってる」
さすがに短い両足を商品の上に載せるようなことはしてない。
「まさか気に入ったの?書斎のデスクや家具は造作で決まってるのよ」
「知ってるよ。ちょっと座って悦に浸ってるだけだ」
「あのぉ、この家具は、行先が決まっておりまして」(スタッフ)
買わないよ。取りなすように言った家具屋のスタッフは、私を生臭い俗物だと思ったかもしれない。
54万円だった。高いのか相場なのかわからん。
家具10
送って来た写真の椅子とテーブルを確認した。
ソファーに座って飲食するのね。VTR観るんだね。
「これでいいんじゃないか」
これにしましょうとなった筈だ。今日の記事はここが大事なのです。このときはこの家具屋の椅子になった。決めたんです。
家具12
「いいよこれで」で終わりたかったのだが、他も幾つか座ってみたのかな。よく覚えてないのだ。
家具14
「さっき座った椅子のカバーの布地とイロなんだけど」
「そんなの何だって同じだろ。さっきのあれでいいよ」
「こんなのに変えたらどうかと」
既製品で別の椅子んとこに連れて行かれた。見て私は目が吊り上がった。眉間に縦シワが刻まれた。椅子のカバーがピンク色だったのである。
「ピンクはダメっ」
「どうして」
「嫌いなんだっ」
「・・・」
「私の持ち物や着る服にピンクなんてひとつでもあるかよ」
「家の中にこういう色が1種類あるといいものよ」
「イヤだっ」
「・・・」
押し切ったと思っている。ピンクなんて絶対にヤダ。そしたら家具屋のスタッフさんが、カバーのサンプルがブラ下がったのをゴロゴロ引っ張ってきた。
「ピンク以外にもございますが・・・」
この野郎と思った。
さっきあのイロで決めただろ。話を引っ張るんじゃねぇよ。くだらないワイドショーのCMじゃあるまいしさ。
家具15布地
布地だけ見てもイメージがつかめない。いろいろ布地がブラ下がっているが、椅子に被せてないでこれだけだとバスマットにしか見えない。
「さっきのでいいって」
「???」
「イロ、クリーム色ぽいの?」
それに決まったんです。私はジャン妻が送って来た写真の家具を確認、椅子に座っただけです。
滞在時間にして30分だが、長く感じた。

復路も新横浜駅まで遠かった。来たときと逆側に出て新幹線の高架をアンダーして篠原口に向かった。
時間は16時くらいだったと思うが、今からだと「華や」は未だ開いてないし、土曜日は定休日だから、野毛に流れています。
https://junky.fc2.net/blog-entry-101.html

で、このショウルームに行ったことで決まったと思いきや実はまだ決まってなかったのよ。
「明日土曜日出ますよ」
「何処へ?」
「ええっと、馬車道の先」
何でそんなとこへ?
「馬車道よもう1か所、椅子を見に行くの」
「2か所も・・・」
「最初から決まってたんだけど」
「新横浜で決まったのかと思ってた。また家具の展示会か」
「見て欲しい椅子があるのよ」
「こないだ見たじゃないか。まだあるのか?」
今度も遠かった。前回より暑かった。馬車道だからみなとみらい線ですが、ジャン妻は、
「このまま地下鉄で桜木町まで行く」
横浜駅経由は人が多いからイヤだって言うんですよ。
桜木町駅から地上に出て、デッキを歩いて、新しい市役所を横目に見て、馬車道駅辺りで地上に下りて、本町四丁目交差点を渡って万国橋で運河を渡って、万国橋交差点の角にあるヨコハマワールドポーターズの6F展示場だった。そこへ行くのに桜木町で地上に出たのはやっぱり失敗だったな。横浜駅でみなとみらい線に乗り換えればよかったんだ。
会場は青地に金のスカンディナヴィア十字が描かれた建築メーカーさんの主催で、また例によって家具だらけだった。もういい加減に飽きたので撮ってないです。
いつものと違う営業ガールが名刺を持って挨拶してきたが、そういうのはジャン妻に任せて、私はウンザリしたカオ、表情を隠そうともせず、自分でもわかるくらい不機嫌なぶっちょうツラで突っ立ってた。
「この椅子なんだけど」
「・・・」
「座ってみてよ」
また展示場かよ1
座ってみた。
「いい椅子だが」
なるほど椅子ってのは座らないとわからないものだが。
「ちょっと待てよ。こないだ新横浜のK家具の椅子に決めたんじゃなかったのか。なんだって?こないだのK家具はキャンセルしたってか」
「全部キャンセルしたんじゃなくてベッドはあっちにしたんだけど、椅子をこれともう1か所で座ってみてから最終的に決めようかと」
「ひでぇな。新横浜ではあんなに熱心に対応してくれたのに。反故にしたんか。袖にしたんか?」
「こういうのはいろいろ見て廻って決めるものなのよ」
「で、なんだって?この椅子ともう1か所?もう1か所って何処よ?」
「みなとみらい」
「それってここじゃないのか」
「ここから離れたランドマークタワーの・・・」
「もういい!
「・・・」
「行かない。2つ座る気はない。ここにあるならまだしも、炎天下で別の場所まで行く気はない!」
「・・・」
行かない、
行く必要はない、
この椅子でいい、
いい加減に決めろよ、
迷うな、
あれこれ見るからそうなる、
直感を信じろ、
俺はこの椅子が気に入った、
で、押し切った、つもり、だが、私の知らないところでもう1か所の椅子を見に行ったかどうかは知らない。
また展示場かよ2
桜木町に戻る。暑いぜ。
でも行き行く人が多い。もう誰もマスクなんかしてない。着用してたら熱中症になりかねない。
歩いてるのは1989年に開催された横浜博覧会用の輸送列車跡、1986年に廃止となった横浜港臨港貨物線(山下臨港線)を復活、使用したものである。
その廃線跡だが、廃線跡にありがちなジメジメ、草ぼうぼうの世界ではないよ。遊歩道として整備され手軽に散策できる。トラス橋があって現役時代のレールが残っている。
現在は上空にヨコハマエアキャビン(ロープウェイ)が運行している。
暑い1暑い2暑い4
運河なのか海の一部なのか、水面に黒い影が映っていてUMAでもいるのかと思ったら、上空を走行するロープウエイの影だった。
暑い5暑い6野毛1店1店内1メ1店内2焼く
土曜日を幸い、早い時間から営っているホールにたどり着いた。
「暑かったぁ」
「暑いっスね。今日はこっち方面に用事でも?」
「展示場ですよ」
この店で初めて、実家を建て替えて転居する話をした。
「ご実家って何処っスか?」
「上大岡時代に話してある最寄り駅の反対側だよ」
ポテ1ポテ2レバ1レバ2レバ3鶏ネギ1鶏ネギ2トマト1つくね牛串1牛串2馬刺1馬刺2馬刺3冷やしトマト1冷やしトマト2
レバ、鶏ネギ、トマト、トマト、ポテサラ、馬刺、冷やしトマト、など。
「ビールでも飲んでく?」だけの筈だったのが、ビールに飽いて冷酒に移行してしまったよ。
何て銘柄か忘れたけど。あ~あ、昼酒をやっちまったよ。昼は飲まないと決めているのに。こうやって堕落してくんだろうか。
どっかのご隠居さんが2人、カウンターで昼酒を飲んでおられたね。上大岡からの流れだろうか。
「土日は早くから開けてるんだね」
「そうなんスよ。自分たち2人、ちょっと時間をズラして。でも使ってる子たちにはそこまでやらせられないし」
営業時間が長いからキツいだろうね。若いからできるのもある。
「2人のうちどっちかがいなかったときは?」
「もうひとりいるんス」
私はそのもうひとりを知らない。
「何かあったら、あっち(風太郎)とこっち(モツ焼き)から呼べばいいんじゃないの?2人とも上大岡のOBなんだし」
知ってる間柄とはいえ、それはルール違反だそうだ。
店2

工程抜粋3
工程フローです。まだ前半、基礎工事中らしい。
引き渡しは12月吉日です。
こんなにかかるものなのか。太閤秀吉の一夜城みたいに早くできないものかねと思う。

地縄と寿司

アイフォンの予定表に「地縄で休み」と打つところを間違えて自縄とやってしまった。自分を縄で縛ってどうすんだっての。
「地縄で半日休むから」と言って相手に通じるかどうかは五分以下で、殆どは「地縄って何ですか?」って返ってくる。
知ってる人は、
「もしかして新築ですか?」
「ウッ・・・まぁ、そうだけど」
「あのねぇ。贅沢人に見られるからあまり言わない方がいいわよ。」(ジャン妻)
「そのようだな。反応を見てわかった」
「それでなくてもアナタは普段から美味しいものばっかり食べてるなんて陰で言われてるんだからっ。Blogに書いたら
?とは言ったけど、業者の名前は出して欲しくなかったんだよね」

建築用語の「地縄立会い」とは着工前の縄張りを確認すること。敷地に縄や紐で建物の位置を表すことをいうのだ。
「それには立ち会ってね」
「めんどくさいな。炎天下に更地になった実家跡地に出向くなんて」
「施主が立ち会って確認するものなのっ」
「私は確認なんてできんよ」
「それは打ち合わせに全く関与してないからよ。縄張りの確認はアタシがやるけど、その場でオッケーしたら契約書に署名捺印するんだから」
「また署名捺印をさせられるのか?」
税理士事務所、銀行、もう署名捺印ばっかりである。
「契約書に署名捺印ならもうしたじゃんか」
「あれは仮契約で、変更契約書みたいなのに署名捺印するのよ」
いつもいつも、毎回毎回、相続のときも銀行でも、建築業者でも、同じこと書かされるのヤダ。
「任せるよ」
「アナタの自筆でなきゃダメなのっ。アナタは建築主なんだからね」

その地縄でジャン実家(跡地だが)におよそ40日ぶりに出向いた。
ジャン妻が撮った写真で更地になったのは確認しているが、この目で見るのは初めてである。生まれ育った実家がブッ壊される解体作業なんか見たくもないしな。
業者さんたちが来ていた。支店長さん、建築士さん、工事監督さん、もうひとり新人研修とやらでひとりいて計4人だった。テントが張ってあり、簡易的なテーブルと椅子があった。
「おはようございまぁす」(業者4人同時発声)
「おはようございます」(ジャン妻)
「何だ?まだ家出来てねぇジャン」
私の第1声がこれである。
地縄1
ここんとこ雨が降ったのと、盛り土なのか掘り返した土なせいか、足元がズブっといく箇所がある。
私は靴と裾を汚すのがイヤでズカズカ踏み込まなかった。公道にいてお隣のご隠居さん、自転車で通りかかったこの界隈でいちばん声の大きい婆ちゃん、ジャン母が生前仲良かった婆ちゃんが通ったので、いつから工事、お騒がせします、年内に自分が越してきます、そんな話をしたのだが、近所の人でもないのにたまたま通りかかった知らないご隠居に聞かれたのが、
「ここ、何があったの?」
「自分の実家ですよ」
「今日これから地鎮祭?」
「地鎮祭?やらないです」
「やらないの?」
それってやらなきゃいけないものなんですかね。知らない他所の土地で建てるんじゃない。自分は更地になってるこの地に住んでたんだし。この地で育ったんだよって言いました。
「地鎮祭だったら何か貰えるのに」とも言ってたな。何も出ませんよ。なるほどこりゃ内覧会を固辞して正解だな。

ジャン妻は図面見ながら業者と確認してる。
私は設計図を見てないし見ようともしていない。「ここんとこ見てよ」と言われたら見るけど。
業者に私が要求したのは、
「年内に越してきたい」
「朝起きたら陽が差し込むのがいい。なので寝室は東」
「あまり目立つ外観にしないで周辺に合わせてくれ」
ぐらいである。
なので出来上がってからでないと確認できないのだ。いちどイメージ3D図を見せたがってたのも「いいよ」断っちゃったんだよね。

何だか紐が浮いてる感じがする。左右に動いちゃわないか?
地縄2
図面はmmだが、縄や紐を張ってそこまで確認するのは難しいので、実際には逃げの寸法を決めて縄を張るらしい。
縄じゃねぇじゃん。紐ジャン。
そうは言わなかったけど、昔は本物の縄を使用していたそうです。現在は縄よりロープやビニール紐を張るのが一般的らしい。
狭いな・・・と思った。
想像していたよりも敷地や家が狭く感じた。でも実は至極当然で、地縄張りで立ち会った施主は口を揃えて「狭い」って言うそうである。
土地だけ見ると狭いと感じるのはごく一般的なのだ。私たちは3次元の世界にいるから目が立体を捉えるようにできている。でも現時点では平面の情報しかないので実際より小さく認識してしまうものなんだと。図面通りでも想像しているイメージより小さく感じてしまいがちなんだってさ。
柱や壁、天井といった高さや体積の情報がないからね。反射しないから。
対比するもの、例えば駐車予定スペースにくるま1台でも置いてると、ああ、なるほど、に近づくそうだが、まだ泥のままなので置けない。

ジャン妻の地縄確認が終わった。テントに戻ってきたジャン妻の第二声は、
「もうこんなに草が生えて」地縄3
さて、契約書に住所名前捺印である。こういう儀式ばっかりやってる気がする。
「最初に聞くが、何枚書くんだ今日は?」
「ええっと、今日はですね」
4枚か5枚だったと思う。捺印はジャン妻が押した。
署名捺印後、解体工事金と着工時金の振り込み依頼書を受け取った。私らの退職金はフッ飛んだといっていい。
工程表を初めてみた。フローチャートみたいなのだった。
工程フロー
こんなにかかるのか。
年内に越したいって言ったからそれはクリアしてるけど。
秀吉の一夜城みたいに早くできないのか?
だんだん暑くなってきたぞ。早く切り上げよう。
「今回、地鎮祭はしませんでしたが、したと思って」一升瓶を渡された。
要らねぇよ。定年祝いでウチん中、日本酒余ってるから。
実際そうなのである。湯野上温泉のW酒店から購入する定番一升瓶が数本在庫していて、4月末の定年祝いで社内関係者やシンパたちから貰った4合瓶が14本もあるんだからさ。
健康を考え考えしてたら前より飲めなくなったからね。
W酒店は「最近、ジャンさんとこから発注がないな」不審に思っているかもしれない。
こないだ蕎麦宿に行ったときに事情を説明しに行けばよかったな。そしたら時間を要して山王峠に置いてあった石、岩?を擦らなくてよかったんだよ。

ブ厚い図面を渡された。製本されてるデカくて重くてブ厚いヤツ。開いた2頁サイズはA2かな。(A3が2枚)
その図面本を紙袋に入れて渡されたんだけど、その紙袋のデザインが好きじゃないのだ私は。
今までなるべく言うのを我慢してたが今度は言った。
「またそのデザインかよ?」
「・・・」
北欧によくある十字がデザインされている。交点が左側に寄った横長で青に金のクロス、スカンディナヴィア十字、ノルディッククロスともいうあれです。
旗
「部屋の隅が貴国の旗だらけになってるんだけど。無地なのはないの?」
ないんですって言われた。
「他で使ってください」
「使えないよこんなデザインは。環境保護団体の回し者みたいだ」
これは笑えなかった。
地縄4
さて、1週間後に基礎工事に入るのだが。
「基礎工事が済んでパネルをハメ込むところはオモシロいから見に来てください」
見に来てくださいったってねぇ。
私は気乗りがしない。これから暑くなるし。それに私はこれでもまだ週5日働いてるんだぜ。
「いいよ。来ないよ。朝目覚めてカボチャが馬車になってりゃいいんだよ」って言った。でも何回かは飲みものを持って伺いに来なくちゃならないだろうな。
(それといずれ書くけど、ちょっと区に交渉しなきゃならない問題があってね。)
その日、午後は在宅勤務にしちゃった。昼から出社するのメンドイし。家でもできるので。そしたらジャン妻が、
「地鎮祭やらなかったけど、やったことにしてお寿司でもとりましょう」

1回出前とって、店にも行ったことある寿司屋が「今日は立て込んでおりまして申し訳ございません」断られた。
ではもう1軒、地元の寿司屋を検索、気のいいオヤジが出て、
「お時間はぁ?」
「お店が17時からだとその前がいいですかね」
「いえいえ、ぜんぜん、何時でもぉ」
18時きっかりに届いた。
宴1
寿司だけってわけにはいかない。そこはジャン妻のプライドが許さず、玉子入りの吸い物と、豚ランプ肉の焼き物はジャン妻、キュウリの糠漬けもジャン妻お手製であります。
宴2宴3
寿司11寿司12寿司14
出前の寿司屋さん、この選手のご実家だって。
この人の実家
ウチから歩いて行けるけど近くはない。
まぁ寿司は出前でいいよ。居酒屋じゃないから、店で食べると握って貰わなきゃならないからね。
「さっきまたカボチャが馬車って言ったでしょ」
「言った。秀吉の一夜城みたいに早くできないのかって言いたかったけどそれは言わなかった。」
「家なんだから建てるのに時間がかかるものなのよ」
打ち合わせに全く関与しないクセにと言いたそうである。
「私はこれでも言いたいことをグッと堪えて我慢してるんだぞ。建築業者さんは私みたいな細かいこと何にも云わない大雑把な依頼者で楽だろーな」
「それは細かい部分をアタシが打ち合わせてるから相手(業者)も安心してるのよっ。アタシまでアナタみたいに無頓着無関心だったら・・・」
ああいう業者さんは竣工してからあーだこーだ文句言われるのを怖れてる。
建築主の旦那さんと奥さんの意見がバラバラなケースも困るんだそうな。既に材料は発注してるから基本的に変更が効かないからである。
カボチャが馬車
貰った日本酒は松竹梅だった。
私はまた悪態をついた。
「安酒を送ってきやがったな」
「そういうこと言わないのっ」
地鎮祭、上棟式、そういう場で振る舞う酒は目出度い銘柄なのと、松、竹、梅、はいずれも樹木なので、建築資材である材木に繋がる銘柄なのです。黄桜なんかもそうらしい。
そろそろ基礎工事に入ってる筈だが。
「ときおり冷たい飲み物でも持って陣中見舞いしないと」
「ビールとか?」
「まさか。お茶よ。」
気が向いたら出勤前にカオを出すよ。日中は暑いからヤダ。でも1回、行ったんですよ気が向いたので。そしたらですね。。。
いや、これは別項にしよう。その前にもう1譚、まためんどくさいのに引っ張り出されたのです私は。

ウジ虫の薬

ジャン実家の片付けが続いている。
片付けったって要は廃棄である。なので負のパワー全開である。
前にも書いたとおり分別して出す。
①市に出す粗大ごみ、
②リサイクル業者、
③溶解して廃棄する業者、
④骨董品、
⑤最終的に間に合わなかったらビニール袋に入れて解体業者に処分して貰う、
④はもうない。売り払った額は解体資金に廻す。
そして解体スタート日前日ギリギリまで①と②と③が繰り返される。解体工事が始まる直前に立ち合いがあって、そこで最初で最後の⑤になるわけである。
それまでは①②③を複数呼ぶしかない。1回につきトラックの積載数限界があって、1度に運べる数が決まっているから数回に分けるのである。
後半になってもまだまだ出て来る。これは③、
片付け31
この写真の箱は②で、袋は最終的な⑤、
片付け32
これらは①
倉庫から出す9
ゲンナリするのは「もう無いだろう、終わった」安心した筈なのに後でまた出てくることがあるのだ。見落とし、例えば納戸の奥とか。「あ、まだこんなとこにあったのか」である。
アタマが疲れて気力が萎え「いいやもうそれは、後にしようぜ」そういう先送りが後になって真綿でジワジワ首を絞める。「また業者を呼ばなきゃなんないのかよ」になるのである。
気力が萎えるということは記憶が薄れることでもある。「これはどうすんだっけ?」方針を決めた筈なのに忘れてしまったりする。
縦軸に処分品、横軸に時系列、そういう工程表やダイアグラムを造る余裕はなかった。要はやっつけなんですよね。
「今度いついつ来る業者は①②③どれよ?」
忘れちゃうのである。
回収日の朝は出社前に実家に来て外に、玄関に、公道前に出しに来る。雨でも来ます。雨の場合、上から特大のビニール袋で覆って、剥がれないようにシールを貼る。
何回繰り返したか覚えてない。①②③は3回以上繰り返した。同日だったり、別の日だったり。
そこへもって、大きいのを見落としたのに気づいた。
「大きいのを忘れてた」(ジャン妻)
「何をさ?」
「物置よ」
「タラ・・・(汗)」
私は絶句した。物置=倉庫のことである。別棟で裏手にあるのだがす~っかり忘れてた。
「あれは解体業者に任せようよ。」
「・・・」←考え中のジャン妻
「倉庫だって解体するんだろ」
「そうなんだけど。まずみるだけ見ないと」
蒸せるような倉庫内を見たら、
倉庫内1倉庫内2倉庫内3倉庫内4倉庫内5倉庫内6
庭作業に使う箒、チリトリ、スコップ、シャベル、木を切る鋏、草刈り鎌、熊手、掃除用具、釘やボルトが引き出しに入った道具箱、スパナ、ニッパ、ラジオペンチ、ドライバー工具、割れた物干し竿数本、カゴ、漬物を漬ける樽、鍋釜の類、まな板が数枚、梅干しや梅酒を漬ける壺、カセットコンロの旧いヤツ、茣蓙やスダレ、凹んだゴミ箱、古紙、牛乳パックの紙容器、錆びて穴の開いたバケツ、ジョウロ、植木鉢、歪んだ洗面器、フラダンスの衣装、石油ストーブ、杖、埃塗れのティッシュ、WCペーパー、殺虫剤、ボロ布、アイロンの台、
ゲンナリしながらチェック、幾つかを外に引きずり出した。改めて、家の中、家の外、倉庫の中、ジャン母はあるものを捨てるということを知らない人だったんだなぁ。
倉庫から出す1百姓一揆
なんなんだいこの得物は。
農民一揆でもするんかっての。倉庫内にある茣蓙やムシロを旗に掲げればホントに一揆ができそうである。
そして、アヤしい薬品が出てきた。
倉庫から出す6何だこれは?
「これ、いつから置いてあるんだ?」
「さぁ、前からあったみたいだけど」
アクリノール液、 希ヨードチンキ、 オキシドール、 イオウ、 グリセリンといった局法薬品と、問題なのがこれ、強力グリーンキラー、
倉庫から出す7
これらは水溶処分でいいのだろうか。
「グリセリンでグリ浣(グリセリン浣腸)のことだろ?全部、水に流しちゃっていいんじゃないか。わかんないのはこれだな」
グリーンキラー、名前からして除草剤だと2人して思い込んだ。
だがそれは大きな間違いなのを知ることになる。
「庭に撒いちゃえば?どうせ解体して土も掘り起こして打ち直すんだし。」(ジャン妻)
私はアヤしんだ。ホントに撒いちゃっていいのかどうか確認しよう。
「Tさんに聞いてみるワ」
「あ、そう、彼なら」
社で20数年一緒にいる盟友、Tに相談してみることにした。今日は日曜日だが彼が現場作業に出てるのを知っている。こういうのに詳しい。
写真を撮ってTに送信して聞いてみた。
「家を解体するので片付けてるんだけどこんなのが出てきちゃって。これらは下水に流しちゃっていいのかな」
そしたらすぐ返事が来た。
「グリーンキラーはダメです。製造会社に連絡して引き取りです。」
というのである。
「グリセリンは油を新聞紙などに染み込ませるようにして可燃ゴミです。他は下水で大丈夫です。」
さすがに詳しいな。だがメーカーに送るのめんどくさいと思った私は、
「グリーンキラーは庭にまくかも。 こんな状態なので」
くさぼうぼう
この庭の隅の草ぼうぼうの写真を送ったら、
「グリーンキラーはウジ虫の薬ですよ。」
「えっ?そうなの?」
そりゃ撒いちゃダメだな。
捨てちゃマズそうなので製造会社に連絡することにした。瓶のラベルで製造会社を確認して、社のT化学のHPを見たら大阪のK塚工場に送付とあった。
これまでの作業で①②③は事前に申し込んで予約しているので、この製品も廃棄には予約が必要なのかと思ってメールで問い合わせたのよ。

「貴社の商品であるグリーンキラー、(JUN4904581011102)を2本、未開封のものを廃棄したいのですが。貴社のK塚工場に送ってくださいとHPにありました。
宛先(部課)と電話番号を教えていただきたいのですが。
包装する場合はものをクッション材で包んで箱でお送りすればよろしでしょうか?」

そしたら夕方に返信がきて、

「T化学のAと申します。大阪府K塚市にあるT化学株式会社、技術課A宛にお送りください。送料はお客様のご負担となります。
送付状に品名、殺虫剤(処分)と記載してください。梱包の際は容器を傾けても内容物が漏れていないことをご確認の上、念の為、本品にビニール袋を被せる等(漏れ防止)して緩衝材(プチプチや新聞紙等)と一緒に段ボールでお送りください。 」

では製造会社のK工場に発送する。小さい段ボール箱に梱包して、プチプチを詰めてガムテで綴じて、近所のコンビニに持ってった。
メールに「品名、殺虫剤(処分)と記載してください」とあったので、伝票に「殺虫剤」と書いて出したら、店員さんが不審がった。
「殺虫剤ってスプレー缶ですか?中身は全部出されましたか?」
「いや、スプレー缶じゃなくて瓶です。未開封の瓶」
「そういうのをお受けしたことがないのですが」
私はメーカーからのメールを見せて、
「ホラ、メーカーから、品名と殺虫剤処分と記載しろってなってるでしょ。大丈夫だよ割れないように詰めてあるから」
そしたら受けてくれた。グリーンキラー、ウジ虫の駆除薬とは言ってない。
「すみません、こういうモノを受付た経験がないので」
だろうね。知らないだろこういうのをって私もTに聞いて知ったんだけど。
何でこんなモノが置いてあったのだろうか。かなり前、実家が水洗WCになる前、駆除する為に購入したのかなと思ったが、製造年月日を見たらそんな前じゃなかった。
他の局法薬品と併せてひとつの結論に至ったが家業がバレるのでここでは伏せさせていただく。
他の局法薬品はTの言うとおりに水溶処分して薬品処理作業は完了した。後でTに「あれ(グリーンキラー)名前からして除草剤かと思って・・・」言ったら笑ってた。
その辺に撒かなくて良かった。聞いてみるもんだ。
倉庫から出す2倉庫から出す3倉庫から出す4倉庫から出す5倉庫から出す8
「この歪んだボロいバケツ、前に家に住み込んでた半野良ネコが昼寝してたのに上から被せて木の棒でガンガン叩いたことがある」
「それがこのバケツなの?」
「バケツ被ったままモゾモゾ動きだしたからね」

私は倉庫の中の片付けに関しては、自分で調べたグリーンキラー他しか覚えていない。他のを梱包した記憶がないのだ。
全て終わって後日になってから聞いてみたのだが、
「倉庫内のを作業した記憶がないのだが、あれはアナタ全部やったの?」
「そう。アタシがひとりでやったワ。アナタには出して貰っただけ」
「そのとき私は何してたんだろ?」
「さぁ、室内の本とかアルバムとやってたんじゃない?」
今になってもそうだがどうも片付け作業をした全体の記憶が薄いのだ。写真を見ながら思い起こし、こうやって記事に書いてはいますが、どうもアヤフヤなのである。
自分ではそれまであったものを捨てる、廃棄するのに抵抗が無かった人種のつもりなのだが、やっぱり深層心理の何処かに「捨てる」ことへのわだかまりや忸怩たるものがあったのだろうか。

倉庫他に置いてあったデカいペットボトルの水、ボックスティッシュ、WCペーパー、液体洗剤、そういうのは持ち帰った。だが、WCペーパーはまだしも、ボックスティッシュは中に埃が混じっていて、鼻をかんだり口を拭ったりするとザラザラっとする。カオの一部をゴシゴシ拭いて擦ったらバイ菌が入ったのか、吹き出物になりかけてたのが軽く化膿したからカオを拭くのは止めた。

解体スタート日が迫った。最後の片付け作業日に最終的に余ったものは解体業者にブン投げるのだが、その見積り立ち入りで出向いたのと、事前に買っておいた菓子折りを持って近隣を1軒1軒挨拶に廻ったのです。
ご近所廻り1
それには作業場の監督、責任者も同行、解体作業の監督と建築の監督は別で、前者は屈強の男性、後者は若い女性なんですよ。
若いったって小娘じゃないですよ。陽に焼けた黒い女性で年齢不詳です。女性で現場監督ってWCはどうすんのかなと思ったよ。
町内会全域を廻ったんじゃなくて実家の前後、隣、道路を挟んで向こう隣をぐるっと廻って「嫡男の自分が越してくるのですが、その前にお騒がせします」って頭(コウベ)を下げて廻るわけ。
知ってる家もあるが、代替わりした家もある。平日なので不在だったりする。ディサービスに行ってたり施設に入って空き家だったりね。
不在の家には令状をポストに入れて、目立つところ、例えばドアノブとかに菓子袋をブラ下げたりする。
コロナが落ち着いたとはいえピンポン鳴らしてドアを開けたら、知らない私がマスクして立ってるわけで、警戒する視線も無きにしもあらずだった。
「ああ、お隣の息子さんなのね」となるわけですが、ジャン父とジャン母がこの地に越してきたのは昭和でいう団塊の世代の頃でウチがいちばん旧くからいるのよ。
当時この一帯は雑木林と松林だらけ、青大将やシマヘビが出るのは当たり前だし、虫の音はするしし、夜な夜なフクロウが鳴いてたんだから。
前の道だって砂利道だったのをジャン父が行政にかけあって舗装したんだから。
ご近所廻り2
「工事いつから始まるの?」(ジャン弟)
「6月のいついつ」
「え、そんなに早く?」
早かったかな。私は年内に越す、そういう条件をつけたら逆算してこうなったんだが。
ジャン弟は解体前に見に行ったらしい。
「弟さんは情に厚いのよ」(ジャン妻)
「何だか私が情に薄いかのように聞こえたぞ」

最終処分品を解体業者が持ってったのが6月2日(金)で、台風何号が上陸した日だった。
https://junky.fc2.net/blog-entry-95.html

ジャン弟夫婦が解体前に見に行って、夜、焼肉屋で会食したのがこれ。
https://junky.fc2.net/blog-entry-109.html

私は6月2日を境に実家に出向かなくなった。解体作業中の現場をいちども見てないのです。だって見たってしょーがないだろ。気が滅入るだけだ。
解体工事直前、最終残物が2tトラック2台分で運び出されたところ。
搬出1
搬出2
その後、ジャン妻は、私が全く現場の様子を見に行こうとしないので、在宅日の夕方で全て片付いた日、更地になった状態を見に行っています。
それがこの写真ですが。
更地1-1更地2-1
よく見に行く気になったものだ。それも夕暮れに。
ドボルザークの交響曲第六番「新世界」第二楽章でもかけてみたら泣けるね。
さぞかし隣の家々は日当たりがよくなっただろう。でもいっとき、今だけだよ。
戻ってきたジャン妻が言うには、
「地縄打ちには付き合ってよ」
「縄打ちとは何だ?」
時代劇でいうところの捕えた者を「縄を打てぃ。この者は儂が詮議する」ってあれか?
「また清左衛門残日録を思い出すんだから。そうじゃないわよ」(ジャン妻)

負のマンパワー

ラーメン記事や飲み記事なら一話完結、1時間かからないでサッと書けるんだけど。
こういうカテゴリーの記事は書き始めに気力がいる。炭火で火を起こすのにも似ている。めんどくさモードで内容的にもゲンナリする。前向きな作業ばかりじゃないからね。
でも書き進めていると、あれも書かなきゃ、これも書かなきゃ、着火されて熱くなってくるんだな。
後になってから「あ、忘れてた」思い出したりする。すると追記になる。
時系列に纏めようとすると報告書の性格を帯びて来るのでシンドい。ランダムにネタ、エピソードとして、ポツッ、ポツッ、ボソッ、とUpすればいい。
かったるい気持ちと、シンドいけど書かなきゃならない義務感?
今書かないでいつ書くんだ?
そういう葛藤の中にいます。

実家内の不要物を片付けるってのは整理整頓を極限まで追及した作業なので、要は片付け=捨てることなんだよ。
金を払って業者に委託するのがいちばん簡単で手間要らずなんだ。全部捨ててくれってのが楽です。金はかかるけどね。
だが、今置いてあるものを要不要の選択がやっぱり必要で、その要不要は実家で生まれ育った私が判断するしかない。
その作業前にジャン弟に「自分が要るものは持って帰ってくれ」と配信した。ジャン弟の部屋に何があって彼が何を持ってったのか知らないが、後はそこにあるものは問答無用で廃棄する。
「そっちの子供の頃の写真は?」
私は回答がわかってて聞いている。案の定「要らない」って。
私も要らない。その返事を得てから作業にかかったのだが。
その前に購入したのが廃棄用のダンボール、リサイクル業者用のダンボール、横浜市規定のビニール袋、紐、ガムテ、横浜市に出す粗大ゴミシールなど。

だが、その作業の前に、何ともやるせない手続きがあって。
人形供養ですよ。
雛人形と5月人形、他、和風の人形とか。それを神社に申し込んで、お焚き上げっていうの?供養料を支払って引き取ってもらうの。
検索したら地元の、地元ったって近所じゃないんだけど、とある神社で5月のGW中かそれまでに納めてくれればいいってのが引っかかった。神社の社務所に電話で相談したら、人のカオが付いてる人形が対象で土産物や民芸品は対象外らしいが、どちらとも決めかねる人形ってあるんだよね。
それらをダンボールに入れてくるまに積んで持ってった。受付に巫女さんがいて、5000円のところを10000円お納めした。
お参りもしたんだったかな。「今までありがとさん」って。
片付け1ジャン室片付け21
まずは自分の部屋の整理から始めたのだが、ガキの頃や多感だった中高校生、そして20代前半頃の写真は殆ど廃棄した。己のガキの頃の写真なんて見たくないモン。
廃棄ったって一般ゴミじゃないですよ。写真=個人情報だし他の人も写ってるんだから。セキュリティーパック、溶解業者の箱に詰めで封するのだ。
ジャン部屋の残留物で書籍関係は99%廃棄した。棚に残ってた書籍、ハードカバー、文庫本、読みふけったマンガの類とかも。置きっ放しになってたのでボロボロ、カビが生えてドス黒く、古本屋に出せる類じゃなかった。
家庭の燃えるゴミで出すのではないです。紙ゴミで出すには憚られるシロモノで量が多い。週刊誌や古雑誌のレベルじゃないのです。
ジャン町内は(火)が紙ゴミ日で、古紙を回収して再生紙にする市の委託業者なのだ。ジャン実家で紐で縛り、ジャン家に搬送して少しずつ出すのを繰り返した。
片付け10書籍類
この紐で縛って搬送するのがキツかった。腰に来た。2階から下ろすのも階段が急なので足元は慎重に。
「そこのゴミ出し場じゃダメなのかな?」(ジャン)
「ウチと違って業者じゃないみたい」(ジャン妻)
ジャン実家の町内会ゴミ出し場がすぐそこにあるのだが、業者と処分スタイルがウチの町内と違って書籍類は出せないらしいんだな。
持ち帰って自分とこで出した。
一般的なゴミ類は実家のゴミ出し場に出した。ちょうと春先だからジャン実家の町内会班長さんが集金に廻ってるのに出くわしたので、
「そこの家の長男ですが」
建て替えて年内に転居してくるので、今年分の会費を支払っちゃっておきたいんだけどと持ち掛けたの。
班長さんは不意に現れた私から会費を徴収していいものかどうか面食らってたが、その場で町内会の上の人に問い合わせてた。「越してくる息子さんが払うって言ってますが」って。
「よろしいのですか?」
「ええ、越してくるし。そこのゴミ出し場にも出したいんで。今いる隣町の町内会と重なるだけだからウチさえよければ構わないでしょ」
「今はお隣町ですか?」
「そう。K会長と副会長はゴミのYって人で、納涼祭はNさんだったかな」
その場で1年分、支払ったのよ。なので今住んでるところとこの実家と二重支払いになるけど別に構わないさ。越してくるんだからね。

食器類がまぁガチャガチャとたくさんあって。ガラス、瀬戸物、益子焼とかも。
「これ、益子焼だから取って置こうよ」(ジャン妻)
「要らないよそんなの」
私は益子焼って伝統だけが先走りしてるだけでそんなに使い勝手がいいとは思ってない。重たいし。食器なんてのは家にお客が来るとして2人、ジャン弟夫婦の分だけあればいい。他、黒い湯飲みと徳利、盃を少し持ち帰った。
黒い湯飲みは清左衛門残日録最終話、金井奥乃助の茶碗に似ていた。「不思議なり、奥乃助の茶碗で薬湯を飲みし、頑固なる咳止み熱下がり、奥乃助の魂、我を護りしか」のあれみたいだった。
他はリサイクル他へ。食器類の梱包はジャン妻が担当した。割れないようにくるむのです。幸い捨てそこなった古紙がたくさんあったのです。
片付け2食器類1
食器類の片付けの合間に、
「アルバム要る要らないを見てよ」
「・・・」
自分のアルバムではない。一族とジャン母のアルバムがドッサリでてきた。
わかってたことだが向き合ってゲンナリした。
ジャン母は写真を撮って保管するのが趣味で、アルバムには、いついつの日付と、何処へ行った、何の集いか、テプラで印字して貼ってある。
だいたいジャン母は捨てることをしない人だった。捨て方がわからないのか、捨てる気がなかったのか。
アルバムの類は一か所だけでなく、あっちこっちの部屋から出てきてたのよ。モノクロの戦前の頃の写真、私とジャン弟の成長記録、家族旅行、家族外食、家業の記録写真、披露宴、通夜葬儀や法事写真、近年の合唱団、フラダンス、同窓会、食事会、たぁくさんあって30冊以上はあったね。
アルバム、写真って、写ってる被写体がモノを言い出しそうでヤダけど、今だったらIPGファイル、ドットJPEGの世界で、普段は写真データとして消したり捨てたりするから、私は捨てるのにそんなに抵抗はない。でも昔のアルバムって表紙や紙がブ厚くて重たいね。それら全部を廃棄するのも憚られるが、全部とっておくわけにはいかない。
「テーマ毎に1枚か2枚、いいのを取っておけばいいのでは?」(ジャン妻)
だがその選別には時間がかかる。旧いものや自分とジャン弟のは無分別にポイポイ捨てる箱に入れてったが、全部は選定しきれず、手が付かなかった分はジャン家に持ち込んでそのままになってる。いずれ新居に持ち込むハメになるだろう。

アルバムに収めるだけではなく、お気に入りは額縁に入れて壁に飾ってあったりする。
「額縁は捨てるんだろ」
「捨てない。リサイクル業者に引き取ってもらう」
「???」
「額縁って喜ばれるらしいよ」
リサイクル業者には額縁の他、たぁくさんあったグラス以外の食器、タッパ、鍋、やかん、調理器具、フライパンとかね。普段着もしない着物、帯なんかも処分料込みの寄付みたいなカタチで業者に引き取ってもらうのよ。
「こんなん何処へ送るんだろ」
「さぁ、発展途上国とか、施設とか?」
私は額縁に入ってる写真を取り出すのに難儀したのよ。軍手をハメないで素手で突っ込んで指を切ったからね。皮を剥いたりした。たいした傷じゃないんだけど、この頃はまだ飲食店なんかで手をシュッシュシュッシュすると傷に沁みるんだな。
ジャン母が病臥していた部屋には元気だった頃の自身の写真や一族郎党の写真だけでなく、私やジャン弟の子供の頃の写真が掲示してあって。(汗)
後期に訪問服薬指導に来た○剤師が3人いてさ。彼女たちはウチの社員で私が頭を下げて訪問を頼んだんだけど、子供の頃の私の写真も見たに決まっている。
アァ、ヤダヤダ、自分で頼んといて何だが、写真に撮られてSNSで社内拡散したら沽券に関わる、この会社にいられないってマジ思った。その3人は通夜にも来てくれて目が真っ赤だったけど。

ジャン母の居室の書籍はそんなになかったが、大量のアルバムの他に楽譜がたくさん出てきた。VTRとかもね。
他、誰が調べたのか家系図、戦前か戦時中かの古写真、今も存命な親戚の長老が個人製作した紀行録、回顧録、俳句集、それらは少ないけど捨てるのに困った。まだ存命中の長老たちから「あれはどうなった?」聞かれたら往生するだろうし。
応接間から普段100%見もしないブ厚い百科事典が20冊でてきたのにも驚愕した。これがいちばん重たかった。
美しくない写真が続きます。
片付け3片付け11片付け4片付け7布団類1片付け8布団類2他片付け9布団類3他片付け6布ゴミ
捨てるもの、とっておくもの、リサイクルに出すもの、これはどの分類に属するのか途中で混乱した。
分別してある程度溜まったら業者に連絡する。すると日時指定日に回収にくるわけ。
分類してみます。①市に出す粗大ごみ、②リサイクル業者、③溶解して廃棄する業者、最終的に間に合わなかったのは、⑤ビニール袋に入れて解体業者に処分して貰うわけよ。
何で④がないのか。この後に出てきます。
アルバムは写真分類作業、判断力が要るんだけど、明らかに要らない旧い写真、むかしの保険関係や通帳、契約書、住所録、個人情報の記録の類なんかは問答無用全て溶解箱に入れちゃうんだけど。
やっててメゲてくる。
「いっそのこと全部⑤じゃダメなの?」
「・・・」
ジャン妻は難色を示した。まだ使えるものはどっか他で使って欲しいみたい。ジャン母の遺品を「こんなにとってあるの?」と呆れつつもやっぱりそこは女性同士、主婦同士?似通ったものはあるみたいだ。
「⑤は最後の手段よ」

食器類、割れないように梱包するのがメンドいらしい。ただ、食器類は写真と違って訴えてくるものがないので、機械的に作業するだけである。
家電製品、固くて重たい。
固くないけど重たいのが衣類、布団類である。衣類なんかは無造作に捨てるしかないのだが、
「布団が多くて。幾組あるのかしら?」
さすがにジャン妻もゲンナリした。上の写真のとおりですがこれ、ごく一部でして。数えたら1階2階合わせて4部屋から掛布団と敷布団だけで12組も出てきたのだ。12枚ではなく12組です。24枚ですよ。誰がこんなに被って寝るんだ。民宿かっつーの。
他、羽毛布団、毛布、薄手の夏布団、枕、布類もたぁくさん出てきた。絨毯、カーペットとかも。
座布団も12枚でてきたからね。誰が座るんだって。
それら布団類と、電化製品は市に粗大ゴミとして出すのだが、布団類は紐で縛るのです。ゲンナリした気力を奮い起こすのがタイヘンです。こんな風に縛った。
粗大ゴミに出す1
そして何が何組あるかを記載して市にメールで申し込む。確か1回に何組って決められてるので、数回に分けて申し込んだ。
市の業者①からは「いついつ何時頃に行きます。朝8時までに出しといてください」しか来ないのである。平日朝8時だと?ウチからジャン実家まで徒歩10分程度だが、出勤前に実家に寄らなくちゃいけないのだ。前日に出しとくわけにいかないからね。
朝、ギリに行って、室内から出して、市のシールを貼って玄関に出すわけよ。いちど、8時ギリに行ったら業者が来ていて、急いで慌てて出すハメになったからね。
雨が降ったら降ったでめんどいしさ。
一連の回収業者たちには①②③を同時進行で連絡するのだが、来るまで待ってないといけないケースがある。②③がそうで、日はわかっても時間帯がわからない。
その間はイヤでも室内で作業してるしかないんだけど。
「今度来る業者は①?②?③?」これがわけわかんなくなるときがある。
こうやって①②③とまだ出てこない④、これらの立ち合いのせいで今年もまた前半で有休がどんどん減っていった。昨年は相続、銀行、解体建築業者打ち合わせで平日有休で減って、今年4月に付与されたとはいえ、それまでの繰り越し残日数がゼロではないにせよ片手の指に満たなかったからね。永年勤続30年近い従業員とは思えん。
金曜日有休でF山温泉、蕎麦宿、何とかの木に行ってるのも要因のひとつではあるがね。
片付け5何だいこれは
卒業証書、掛け軸、書初め、免許証や感謝状の筒とかですよ。ポイポイポイです。
片付け作業は4月と5月の週末(土)(日)どちらかに絞って作業した。(土)(日)連続だと他の用事ができないし、(土)(日)どちらかに絞った。それも終日作業しなかった。
まだ夏場でなかったのが幸いだった。今年の夏、今、まさに殺人的な暑さだからね。
肉体労働ではあるので腹が減る。昼はどうしたか。近所でもないけど「ファミレスでいいから昼食べに行こう」となって出たら満員で。
松屋でテイクアウトしたりした。
「しょっぱいわね」(ジャン妻)
東日本大震災の夜、ジャン母に買ってったときの感想と全く同じ台詞をば吐いた。テイクアウトはこれ1回限りで、あとはガムテや紐が無くなったので歩いて10分のスーパーに買いにいき、まさかのCafeでランチしたら大当たりだったりした。
https://junky.fc2.net/blog-entry-76.html
それ以降は朝、家で多めにちゃんと食べて昼を抜いた。
松屋2松屋3松屋5
まだ④を述べてませんね。
④は貴金属、骨董品、壺とか掛け軸、絵画なんですよ。金目のものです。これについては詳しく述べたくないが、そういうのも出てくるわけだ。それらを一室に並べて、コロッケさんがイメージキャラクターである「お宝や」さんじゃないけど、同じような鑑定業者に申し込むの。
どんな鵜の目鷹の目でギラギラした業者さんが来るのかと身構えてたら、至って普通で、むしろそういう人種には見えない爽やかな若い男性だった。
お宝1お宝2
並んであるお宝候補を値踏みして?I-padみたいなのに入力して写真を撮って本部に送信して、写真を見ながら相続人である私が鑑定会社本部と確認し合うんです。1枚1枚、写真が写し出されて、間違いないか読み上げ、オッケーの打診をするの。
私は電話先で以下のような言を吐いた。
「カビだらけの五輪金貨、いつのだこれ?」
「成金趣味としか思えねぇ悪趣味な金時計」
「二束三文、ボロい掛け軸」
「叩き割ってやりたい壺が数個」
「場所だけとってジャマでしょうがないデカいだけの絵」
「豚に真珠」
とか何とか悪態つきまくり。携帯の向こうでは笑いをこらえてるのがわかった。そうやって業者の携帯で毒を吐いてたらジャン妻のカオが真っ赤になり、
「いい加減にしなさいよ」
幾らになったかは知らない。覚えてない。聞いてもそういうのはアタマに入らないように私のアタマはできている。その金は、僅かな金とはいえ解体資金に回すしかない。
お宝3
捨てるのって負のパワーがいる。
始めた頃は先が見えなくてゲンナリした。ホントに解体前に終わるのかと思った。でもすすめているうちに先が見えてくる。ただ、終わったつもりが「あ、こんなとこにもあった」ってのは度々あった。
イザとなれば、最終日に間に合いそうになければ解体業者丸投げである。でもそれにもルールがあって「残ってるものは全部廃棄!」ではなく、ある程度は纏めておかなくてはいけない。ビニール袋に詰めて業者さんは何も考えずにただ捨てるだけ、詰めるだけにするのが望ましいのである。
ひとつ、大物を忘れていたのだ。
「物置もあるんだけど」
絶句!そうだった。

家を継ぐ者

ジャン母一周忌の法要で、菩提寺住職の読経途中から女性の読経が加わった。
本堂のデカい丸柱の陰に住職の娘さんがいて父娘のデュエットになったのである。リードボーカルとサイドボーカルの様相を呈していた。
娘さんの髪は短かった。昔の尼さんみたいに剃っちゃいなかったが、いずれ井伊直虎みたいになるのだろうか。
いつもと違ったツイン読経を聞いた後、説教のなかで、
「お母さんが住まわれてたお家はどうされるんですか?」(住職)
「ええっと、自分らが・・・」
「住む準備をしています」(ジャン妻)
傍らにはジャン弟夫婦もいるので、このとき「ああ、自分が継ぐんだあの実家を」意識したような気がする。

相続する固定資産が2件あって、ひとつはジャンの現職に関係する小物件で、それは遺言により私が継承することに決まっている。
実家をジャン弟に「そっちで貰ったらどうだ?」と振ってみたが、私もジャン弟が喜んで受けるとは思っていない。別の場所に住居を購入済みでジャン弟嫁の母御と同居しているからである。
ジャン弟も私が言ったのと同じ台詞を返してきた。「そっち(ジャン)が受ければ?」
何となく実家は私が相続することになり、他は公平になるよう分与したらしい。らしい、というのは私は相続の相談に全く関与しなかったのである。
あくまでイメージ
先代の頃から世話になっている某税理士法人事務所に相続の計算を委託した。必要な書類はジャン妻とジャン弟が揃えた。数字、保険、証券関係に異様に強いジャン妻とジャン弟に任せきり。
だがどうしても兄弟揃って事務所に出向かないといけなくなったので、私も嫌々付き従ったのだが、私は事務所で最初の挨拶以外はひとことも口を挟まなかった。だんまりしていた。
私はこれの違いが今でもわかんない。
事務所の違い
ツマらないので外の風景を見ていた。ジャン妻とジャン弟に任せた以上、ド素人の私は口を挟もうにも挟みようがないし、何を話していいのかもわからない。
ただそれだけなのだが、最後の方になって、前にいる税理士事務所のボスが、
「お兄さんは何かございませんか?」
「???」
何で自分に振られたのかもわからず。
「別にないけど」
もしかして私が不貞腐れて黙ってるのかと訝しんでるのに気付くのに少々間があった。
「あ、いや、その、別に、さっきから自分が喋らないのは数字に弱いからで、そっち方面に強いのが2人(ジャン妻、ジャン弟)いるんで口出さないだけです」

「さっき何で向こうはあんなことを聞いてきたんだ?」
「そりゃアナタがずーっとダンマリを決め込んでるから、相続内容に不満でブスくれてるのと思ったのよ」
「別にブスくれてなんかいないぞ」
「ああいう場所で、先生たちの前で兄弟同士が揉めたり喧嘩になったりするってよくあることなのよ。だからよ」
「ふぅん」
イメージ
後日、いろいろ署名捺印しにもう1回出向いています。その2回めでも私は態度が悪かったらしいが、何だかだるくて署名捺印するのがやっとだった。
だるいのは翌日からコロナになったのでそのせいだったんだけど。相手も私のことを数字に無関心なお大尽、バカ殿とでも思ったのか何も言わなかったよ。
翌日からコロナで出社停止ですよ。税理士事務所で感染したのか、私がどっか他から貰って事務所で感染させたのか、それはわからないままである。

それと並行して銀行他、金融機関を廻った。ジャン母の口座が固まっちゃったからである。そこでも署名捺印の連続でいい加減イヤになった。
「めんどくせぇなぁ」
「そう言わないの。相続ってこういうものよ」
「だって今まで相続なんかしたことねぇもん」
「そりゃそうでしょ」
銀行の支店長が名刺もって挨拶に来たんだけど、私はジャン弟に「そっちに任せた」プイと席を立ってしまった。ジャン弟は保険屋さんなので、そういう禍々しい世界とのやり取りに慣れてると思ったのである。
実際慣れてるのだが、ジャン弟は呆れたように、
「あのなぁ、ちったぁ数字に興味を持ってくれないかなぁ」
「いい、任せる」
ホントに全く口を挟まなかったのよ。金額を見てもアタマに入らないしさぁ。
老後のシミュレーションもジャン妻に任せ、私は会社が退職金を振り込んだ6月初旬まで自分の残高を確認しなかったですよ。
どうもそういう額の数字ってアタマに入らないタチなのだ。
興味がないわけじゃないんだが、身内にプロが2人いるんだから、私が関与する必要ないと思ってたの。

「素人は口を挟まない方がいいんだ」
「・・・」
「その方がそっちもやりやすいだろ」
「まぁねぇ。ここまで無関心だとねぇ」

この平日の事務所日参と銀行廻りで有休残がどんどん減って、永年勤続20有余年の私が3月の有休残を5日を切ってしまったのだよ。
普通は長年勤めてると繰り越しできないで消えるからね。次にコロナになったら有休残がヤバいのよ。
4月に20日付与されましたけど。

相続配分が確定して申告も済んで、1周忌に間に合ってよかった。
そして、何でそうなったのか自分もよく覚えてないのだが、築ウン十年の実家を建て替えることになり、ジャン妻が口コミ等調べて、建築会社が集まっている展示場に出向いて、
https://junky.fc2.net/blog-entry-54.html

あっさり契約の運びとなり、
https://junky.fc2.net/blog-entry-61.html

ジャン実家に測量隊がやってきた。
境界の杭、地質、地盤硬度を測るのだ。
現調1
作業バンからウルトラ重機が下りて来たところ。
現調3現調4
小さいけど無限軌道を装着している。国際救助隊サンダーバード2号のコンテナから下りて来る高速EVTカーみたいである。原子力超音速旅客機、ファイヤーフラッシュ号を胴体着陸させたあれ。
このキャタピラ付きの装置で何をしたのか聞き忘れてしまった。長年、家が建ってるんだから地盤的に問題ないだろうとは思うのだが、こういうのって必要なのか。建築基準値が変わったのか。
現調5現調6
そこかしこを測る立ち合いは任せてその場を離れた。監督は愛想がいいが、配下の職人たちは愛想がそんなにないのでじーっと見てるだけでもジャマそうだったからである。
私は最初に挨拶して名刺交換(貰っただけ)しただけで部屋に引っ込んだ。Blog打ったりしてた。
彼らは雑草をかき分けかき分け「境界の杭は全部見つかりましたぁ」杭なんて初めてみたよ。
現調8
敷地の数か所に棒を挿入して固さを測ってる。ボーリングみたいなものか。
コンプレッサーの音が近隣に響く。こりゃご近所に事前に「うるさくします」と言った方がよかったかもしれない。それでも1時間くらいで終わった。
すぐ裏のお宅様はジャン母ともども懇意でお世話になったので「家は自分が継ぎます、解体して平屋にします」伝えてある。
お隣さんは更地にして4軒くらい建って売りに出すのかと心配してたらしい。知らない余所者が来るよりは、次世代とはいえ知人の愚息夫婦が来る方が安心だろう。こんな私なんかでも。
現調7
この現調の後「オリコン顧客満足度調査ハウスメーカー注文住宅において2015年の調査開始以来9年連続総合第1位受賞」と鼻息の荒い建築会社の建築士さんと営業所長さんが、現調結果をジャン家に持ってきて説明がてら打ち合わせが始まった。
建築士さんは若い女性で、隣に営業所長さん自ら担当者になってくれている。お若いけどお人柄がいいのと、信用できそう方だと思っている
現調結果の地盤強度を表す数値や地質データを見せられて、あーだこーだ、強度的には問題ないそうである。アタリマエだ。そこのウン十年、家が建ってたんだから。
私も実家を含めた近隣の図面、住宅点在図みたいなのも見せられたが、私が興味を持ったのは「こんなとこに沢があるんか?」そういう地系ポイントだけである。沢というか暗渠みたいなのがあったのよ。小川の跡とか。
「またこの人はそういうのにだけ興味を持つんだから」とジャン妻に言われた。思い起こすにこの辺りは前は畑だった、田んぼだった、狭い砂利道だった、雑木林だった。そういうネタに興味を示したが、それらは建て替える実家とは離れた関係ない場所なのだ。
打ち合わせ1
建築士さんは、たたき台の図面をいともあっさり書き直せる特技をお持ちのようだ。
要望、提案するのはジャン妻で、私は例によってここでも殆ど口を利かないが、ひとつ言ったのは、
「寝室は東、夜が明けたら部屋に陽射しが差すように窓を大きめにとってくれ」
「それだと眩しくなりますが」
そんなのはわかってる。
「朝、目が醒めたら部屋が明るいのがいいんだ。暗いのがイヤなんだよ」
目が醒めたら陽が射して、ペールギュントの「朝」でも流したいものである。何?ペールギュントを知らないって?お宅の会社の隣の国だろうが。
私はツマンないので席を外した。いつも言いますが、私はカボチャを馬車にする過程には興味が無く、朝目覚めたらカボチャが馬車に化けてりゃいタイプの人間であります。
滅多に来客が無い家ん中で2人の専門家が2時間も3時間も居座ってるわけだが、私はジャン妻みたいにクリエイティヴな人間ではないのでずーっとそこにいても苦痛なだけである。
私は2階の自室に逃げた。Blog打ったり宿題したりしてた。
階下から談笑が洩れ聞こえてくる。
図面
「終わったわよぉ」(ジャン妻)
やれやれ、時間がかかったなぁ。ジャン妻があーだこーだ話を引っ張ってっから長引いたんだ。
「お昼どきになってしまいすみませんでした」
「ったくだよ」
とは言わないよさすがに。こっちは腹が減って・・・でもないんだな。休日は昼無しなので。
営業所長さんは今日の打ち合わせ確認事項を議事録に書き書きしてる。これ、毎度のことで、過去記事でも2枚カーボン用紙に書いてるのだ。
私は自分のアナログを棚に上げて、
「手書きなのか?打たないの?」
「手書きなんですよぉ」
で、1枚めくって、読み合わせて捺印するのです。確かに相違ございませんってね。意外とアナログなんだな。
この解体&新築打ち合わせはジャン実家とジャン家で2回か3回か4回かやっています。私の知らないところでもっとやってるかもしれない。
私は同席するのに気がすすまずジャン妻に任せきりで、その代わり文句を言わないスタンスをとったのだが、さきほど言った朝の陽が射しこむ寝室と、もうひとつ「年内に引っ越す!」と宣言したのです。
「年内ですか?」
「そう、新年は新居で迎える」
ギリで何とかなりそうだ。そっから逆算して大まかな行程も決まった。
あ、書き忘れたので追記しますが「あまり目立つ外装やイロは止めてくれ」とも言ったな。近隣の家のイロやカタチを意識してウチだけ目立たないようにしてくれって。
例えばこんなのでも、↓
あくまでイメージだが
「派手だな。もっと地味に」
「実際はもうちょっと目立たない感じになります」
あくまでイメージですが、連中は家を建てるのではなく売るのが目的だからね。なるべく目立つのにして他から客を取りたいのであろ。私らの家は出来上がったら他の魚を喰いつかせるエサみたいになるのだ。
さて、6月初旬から解体するので、5月までに家屋の中を片付けてスッからかんにしなくてはならなくない。
毎週末(土)(日)どちらかは実家に出向いて片付け作業しないと。市の粗大ゴミ、リサイクル業者、溶解業者に申し込んで、相手が引き取りにくる時間指定に併せるのだが、ただ出せばいいってもんじゃなくて、要不要を見て分別して、梱包して縛って、腰に負担きての繰り返しである。不慣れな肉体労働をしなきゃならなくなったのだが。。。

おくう

HPから
これからジャン弟夫婦と4人で会食なのに、時間に煩い私が遅れた。東海道線下りで向かってたら、横浜駅で非常ボタンが押されて緊急停止しやがった。誰かホームから落ちたんだと。でも現場は私が乗ってる下りじゃない。お隣の上りホームらしいんだな。
メッセージを流した。「先に店に入ってください。」
いい肉を喰らおうと勇んでたのにこういう時に限って。
とはいえ、少々遅れたところで在庫が品薄になるんでもなかろうて。
「救護完了、動きだしたけど・・・」
・・・この後、保土ヶ谷駅を過ぎた辺りの踏切でまた人が立ち入って安全確認、和牛喰いたさの私はキレそうになり・・・
・・・そんなことはない。もう齢を重ねて余裕です。そしたらジャン妻から、
「先に始めてますよ。」
無情な連絡がきた。構わないよ。「行くまで待ってろ」とは言えないよ。
会場のこの店、駅ビルの4階にあった。駅に直結しているので雨の時も濡れずに行けるのがいい。
店って感じじゃないな。どっから入ればいいんだ?
店1というか箱
昼は軽くしといたのだ。会場が焼肉屋だから。予約したのは私で平日の昼11時に電話した。ランチタイムになってすぐだから、なかなか電話に出ないだろうと思ったらパッと電話が繋がって、
「夜を予約したいのだが」
「ハイ、今日の夜でしょうか」
「いや、今日じゃなくて〇日の〇曜日、18時くらいから4名」
「お席の予約だけでよろしいですか?」
「席だけでいいですよ」
コースなんて苦手な部位、例えばグニャングニャンした食感の内臓系とか混じってるんでしょ。そんなのは要らないし豚肉も要らない。ある程度ランクが上の和牛ロース、カルビだけで充分な私です。
電話に出た子はランチ開店早々に夜の大口予約が入ったので声が弾んでたな。
店2
ホウ、山形牛なんだ。
店3
合流しました。
「この店、どっかで見たような」
「新橋にあるわよ」(ジャン妻)
スパムステーキの店近くにあった。あっちが本店かな。
感じのいいスタッフがいるのかなと思ったがいなかった。焼肉屋って客が焼くから接客接遇は普通以下ですね。
広い店内にマネージャーぽい男性、他、女性ひとりしかいなかった。
オーダーは例によってタッチパネルだし。
タッチパネル
焼肉屋って、どうしても最初はタンなんだね。
何で最初っから特上カルビとかロースにしないのかね。実はそれも入れたんだけど、店側も先にタンを出したがるのは何故だ?
タン1タン2
ナムル
トマト
目の前にジャン弟夫婦がいます。情に濃い彼らは解体直前の実家を見に行った後なのです。
「結局、最後に見に行ってないの?」
「行ってない。先週末に最後の片付けに行っただけ」
その一連の片付けを記事に纏めています。
私はそういう解体とか、あったものが無くなるのを儚むメンタルとは無縁の人間らしい。
(前からそれはわかったわよ。)←ジャン妻はそう言う。
おそらく生家がダム湖に沈んでも何とも思わないんじゃないかなぁ。
最後の最後、解体前なんて見ようとも思わない冷たい嫡男であります。そういう性分だからしょうがない。
「片付いた?」
「まぁ何とか」
実家を引き継いで建て替えるにあたって、あるものを処分するのがタイヘン。
人形供養から始まって、電化製品、食器、衣類、タオル、靴、傘、布団、座布団、写真、掛け軸、絵画、着物、壺、
「布団なんか掛布団敷布団併せて12組もあったぜ」
「!!!」
「誰がそんなに泊りに来るんだっての。民宿じゃあるまいし。座布団だって12枚あった。誰が座るんだっての」
捨てるのって分別を考えなければ簡単なのです。金払って持ってってもらうのが楽なんだけろそういう訳にもいかない。やぱり要るモノ、残しておかなきゃいけないモノってあるのよ。
契約書、地面、保険関係、そういうアヤしい文書は見るのもメンドいのでバサバサっと箱に入れたが、捨てるか取って置くかの判断が大事でさ。それが決まらないと片付かない。
捨てていいモノ、捨てちゃいけないモノ、捨てない方が無難なモノ、捨てていいのかいけないのかわからないモノ、判断するのは私です。ジャン妻じゃない。
故人の写真とかも困ったものです。私は自分の幼い頃の写真は全て捨てました。ジャン弟も要らないって。
片付けてもうここには無いだろうと思っても別の日に行ったら、あ、こんなとこにもあった、になったりする。
見落としていたのが、物置きというか倉庫、熊手、スコップ、鋤、鍬、鎌、竹箒なんかゾロゾロ出てきて、20本くらいあった。茣蓙とかも。農民一揆じゃあるまいしさ。
そして今日、ジャン父&ジャン母の仏壇を引き上げて、あとは明日以降から解体業者が入る。
近隣への挨拶も済ませた。ドラ息子のつもりはないが嫡男が戻ってきますって。実家の町内会にも1年分の年間会費払ったんだからさ。
もう疲れてきたのでこれくらいにします。
特上カルビ1特上カルビ2
まぁ綺麗な焼肉屋さんだね。
昔の煙モクモクじゃないんだね。(いつの時代だ。)
肉質も良い。っていうかいい肉ばっかり頼んだわけよ。牛肉なんて国産で高けりゃ高いほどいい値段に決まってるし、髙ければ高いほど美味しいわけよ。
盛り合わせみたいなのはパスした。そういうのは肉のランクや部位に当たりハズレがあって、ハズレ引いたら後悔するからね。
安っぽさ、筋っぽさ、脂身だけってのもなかった。でも特上カルビは舌の上ですぐ溶けてしまい、肉って感じじゃなかった。特上でなくても上ぐらいでちょうどいいのかもしれないというのは、髙崎は朝鮮飯店で実践済みなのに結局は同じ轍を踏んでしまう私です。
内臓系頼まず。レバも頼まなかった。
オーダーしたのは、山形牛A5ランク、ステーキ、特上カルビ、特上ロース、同じものをアンコールしたり。
特上ハラミか特上ロースか1特上ハラミか特上ロースか2特上ロースだったかなぁ
野菜といえるものは、サラダは殆どサラダ菜だけ、ナムルはイマイチだったな。
キムチや野菜焼きもオーダーしなかった。野菜焼きをパスしたのは肉についてきた野菜がバリバリに乾燥していたからである。切り置きにしても度を越している。
サラダ1サラダ2
山形牛A5ランク1山形牛A5ランク2
山形牛A5ランク3
「お肉はよ~く焼かなきゃダメよ」
そう言っていたジャン母はローストビーフの赤い部分を生肉だと思っていた。その意識は変わらなかった。低温調理が理解できなかったのである。
山形牛ステーキ肉1山形牛ステーキ肉2山形牛ステーキ肉3
まぁ牛肉は高い方が美味いよ。牛丼とかの肉じゃないですよ。
ひとりで焼いてもツマんない。肉は目の前に奪い合う相手がいた方がいい。弱肉強食早いモン勝ちだ。でも身内だから生存競争の血が騒ぐこともなかった。
ジャン弟はライス、義妹がクッパ、ジャン妻は冷麺ミニサイズ、
私はそういうのは一切食べない。酒は飲んだけど、肉が美味過ぎて飽きてきたのと、日本酒ってあまり肉に合わないんだな。
冷麺
冷酒
店4店5
ジャン弟たちは私らと反対側のどっかへ消えてった。まさか吉野家へ牛丼でも喰いに行ったんじゃないだろうな。口直しに。
解体工事が始まって20数日経ちましたが、私は解体中の現場を一度も見に行ってません。
これはジャン妻が現地で業者と確認がてら撮ってきた写真です。更地になっています。
更地1-1更地2-1
今週、地縄です。私も立ち合うのですが。
「行かなきゃなんないのかよ。めんどくせぇなぁ」
「ダメよ来なきゃ。有休付与されたんでしょ」
「カボチャが馬車になってればいいんだ。いったいいつ建つんだ。遅ぇな」
「今建築申請してるのよ。膨大な書類らしいわよ。アナタが年内に転居するのが契約条件だなんて言うもんだから彼らタイヘンなんだからね」
「・・・」

蒸気屋

「桜木町駅南改札に着いたよ」
「18:30に終わります。その辺で遊んでてください」(ジャン妻)
その辺って何処で何をして時間潰しをしろと
私はひとりでゼロ次会なんかするつもりない。30分も待てない。
建築界会社のメール末にあったアドレスを頼りに、建築会社事務所に出向いたのよ。
建築会社
左にジャン妻、前に女性建築士さんとデザイナーさんがいる。
「お飲み物でも如何」
「要らない」
ジャン妻は眉をしかめた。こういう場での私は態度が悪い。打ち合わせ中、ひとことも口を挟まず、ムス~ッとして押し黙ったまま。
それまで女性同士で和気藹々と長話をしていたところへ闖入したもんだから、場の雰囲気がガラッと変わったようだ。
「新しいお家の3D図ご覧になられますか?」
「いい」
それも拒否ってやった。早く終われオーラを全開にしてやった。
では今日はこれまでと。パタパタと設計図やイメージ図を畳んで、事務所を出て見送られ、それら図面の土産を持たされて、野毛に繰り出した。
そこからなかなか行先が決まらない。ぐずぐずして終わらないからだ。
この路地に来るまでに、中華2軒、洋食系2軒電話したら満席で、うち1軒は「19:30になればお席が空くのですが・・・」だった。
金曜日の今宵今からなんて何処も混んでるだろ。仕方が無いので満天ホールに流れるかなぁと思ったりした。
野毛1
今日は生臭い魚の居酒屋は避けて、肉系のバルかビストロを検索して引っかかったのが「蒸気屋」という店で、電話したら、
「ただいまの時間帯は予約は受けつけておりませんが、よろしかったら覗いてみてください。お席御用意できるかもしれません」
というひとを喰った反応であった。
予約する方が確実だが、予約するだけしてキャンセル電話もよこさないで来ない輩も少なくない。コロナ禍で店の苦衷をよそに利用する側の態度が妙にエラそうになった風潮になった。(コロナが落ち着いたことでその逆もあるが。)私は時間にうるさいので予約不可欠の人間だが、居酒屋ってのは事前予約なしでフラッと立ち寄って入れてこそではないか。入れるかどうかは運次第なのだ。
実際、行ったら空席があって、
「店内のカウンター席か、外のカウンター席でよろしいでしょうか?」
外ですか。ホゥ、それはオモシロいね。道路に背中を向けて吹き曝しになっている2席にしたのよ。
その席は壁板を上に持ち上げて突っ張り棒で支えた簡易的な天井の下で4席、背もたれがないので後ろにそっくり返ったら危険な席でもある。

注文は今、流行りのタッチパネルか。ちょっとシラけたが松屋より全然簡単だった。なるほど店内狭くこの造作と席じゃぁスタッフが動くのも難儀そうだ。いったん店の外に出てこっちに運んで来るからである。雨降ったり天気の悪い日はどうするのか。
タッチパネル1
JAYWALKの田切純一さん風の店長(代理かもしれない)が全体を仕切っていて、サブリーダー、若い女性スタッフが4人~5人いたな。
最初はレバパテ、バケット付き、上部が固い蓋みたいになってそこだけ甘いのはハチミツかメイプルシロップでも塗してあるのかな。
レバパテ1レバパテ2レバパテ3
もずく酢、何でこういう店でもずく酢なんてツマんないのをオーダーするかな。
もずく酢1もずく酢2
できたてポテトサラダ、焼いたジャガイモが敷き詰めてあって、その上にカットされた茹でタマゴとマヨネーズ、これをマゼマゼして食べる温ポテサラ、
できたてポテサラ1できたてポテサラ2できたてポテサラ3
燻製チーズベーコン、これはバカ美味、4本にすればよかった。
燻製チーズベーコン1燻製チーズベーコン2燻製チーズベーコン3
お替りバケット、タッチパネルなんだけど、店長が口頭で言うには、
「お替わり欲しかったら仰ってください。すぐ焼きますので」
すぐに焼いてくれたのだ。
お替りバケット1お替りバケット2
何だか店長の気配りが良くなったのは、私らが白ワインフルボトルをドーンと入れたからじゃないか。
こういうのをオーダーすることで、あ、腰を据えて飲んで下さる客なんだねと安心したんだろ。
今日は週末(金)なので2時間制でお願いされてます。コロナ禍の時短と年波で2時間もいられなくなったけど。そんなにいたら酔っぱらってしまうしな。
狭いので氷の入ったバケツで出されルのではなく、こんなカバーを着せられて供された。
白ワインフルボトル1
どっかで見たデザイン、さらの木か、もう今はない紀尾井か。
「似たようなデザインがあるんじゃない?」(ジャン妻)
白ワインフルボトル2
「アナタさっき態度悪すぎ」
「フン」
私はまだ建築会社との打ち合わせが長引いたのを根に持ってる。
30分40分待たせるとはどういうことかと。
「会議なんてのはエンドを決めなきゃダメだ」
「それは会社の場合よ」
「今後もまだ打ち合わせが続くのか?」
「6月中で終わるわよ」
私は自分が全く関与しないくせにブツクサ言っている。
「さっき会社事務所の受付で内線を取り上げて、何番ブースで打ち合わせしてる筈の〇〇って言ったら、出てきた女性社員が怪訝そうに、不審そうに私を見やがったぞ」
「そりゃそうでしょその風貌と態度じゃぁ。あの事務所は展示場も兼ねてるんだから、入って来ちゃっていいのよ」
「アブなくないのか」
「監視カメラもあるし。警備員もいるし」
それにしても長い打ち合わせだった。建築士もデザイナーも女性だしな。信じられないことに現場監督も女性なんですよ。(解体作業監督は男性)私の業界も女性が多いし女性が活躍するのはいいことだが、
話しが長いのよ。オンナ同士って。何の細かいことを打ち合わせしているのだろうか。

忙しそうな厨房はそれでも楽しそうである。
お祭りの屋台の雰囲気がある。
大型ガスレンジで複数の料理をダブル、トリプルで調理中、
厨房1厨房2
レンジの上で炭火を焼いて、それを反対側の炭火焼コーナーに移すのです。
あの炭火を見て思い出した。地元町内会の納涼祭で焼いたな。
コロナが落ち着いてそろそろ夏祭りの打ち合わせ時期に入る頃合いだ。どうしようかなぁ。
厨房3
おや?小鍋、バーグ、2つの料理を焼いているぞ。あれは私らのか。
厨房4バーグと同時に
そのバーグを炭火台に移して焼き直して、
「今から熱いのでお気をつけください」
バーグの鉄板を紙で囲って、上からタレをジューッとタラしたら、
バーグ1バーグ2
ジュワーッ、
パチパチパチ、
モワァ-
バーグ3バーグ4
湯気が、熱気が引いていくところ。
バーグ5バーグ6バーグ7
派手なアトラクションだな。こんな狭いカウンターで。
「お待たせいたしましたぁ。100%ビーフハンバーグでぇす」
バーグ8バーグ9バーグ10
熱々です。100%ビーフなので、サイゼリアバーグのようなきめ細かいヤツじゃないよ。
バーグ11バーグ12
ダメ押しにオーダーしたイベリコ豚ベーコン、
「アナタ、自分の好きなものばかりフルスロットルでオーダーしてるわね」
「さんざん待たされたんだからいいだろ」
いつもだったら横合いからジャン妻が「それぐらいにしときなさいよ」そう興を削ぐ余計な口を挟んでくるけど、タッチパネルだとそういう横やりが入らないですんなりいくね。
イベリコ豚ベーコン1イベリコ豚ベーコン2
厨房と店内がいい雰囲気なので幾つか撮ってしまいました。
田切純一氏に似た気のいい店長殿は厨房で汗だくです。休まず前後左右に動いている。時おり発生する声音も似てる。いい感じの人です。
ナンバー2の小頭もいい。店長に煩わせることなく自ら捌いてスタッフを動かしている。
他、若い女性が4人、2階もあるからもっといるのかな。雰囲気やノリがもう閉店してしまった上大岡のあの名店に似ていた。
若い子が鍋をかき混ぜようとしたら、アチチチッ、火傷しそうになってた。その子は店長にHELPの眼差しを向けたが、店長はタオルを渡して、これこれこういう風にすれば火傷しないよと、その子に最後まで調理させてた。
そういう人間模様が見れるし、背後は野毛の通りでお祭り空気が伝わってくるし。
「もしかして。この席って」
「???」
「特等席じゃないかな」
「アタシも店内よりいちばんいい席だと思う」
厨房5
厨房6
店内1
目の前は見てて気分が良くなる厨房連携、背後は野毛のお祭り雰囲気である。席から野毛通りを見る1席から野毛通りを見る2
会計もタッチパネル、支払いは席で。店長に挨拶して出ようとしたら目の前にいないの。何だつまんないのと思ったら、何と店長さん狭い店内から路上に出て挨拶、見送ってくれた。
「蒸気屋さんって、大船にもありますよね」
その大船の蒸気屋は何と名物マスターがいるあの店のすぐ近くだった。
「ございます。藤沢にも。そちらの方もどうぞ」
大船で浮気はできないかな。それだったらまたこっちに来るかな。
店3
野毛3
心地よい後味、喧騒、新日本風土記の世界である。
奄美出身の歌手、朝崎郁恵さんが歌うテーマ曲「あはがり」が脳裏に流れた。奄美の島言葉で全てが明るいという意味です。
まだ夜は始まったばかり。これからである。

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