2023/11/25
打ち上げの筈が
やっと終わった。重たかった緊急な案件で私の担当分が片付いたぞ。両腕を天に伸ばしたい気分だ。肩痛いから伸ばせないけど。
10月に振って湧いた新規案件は毎週のようにヤマがあって、①事前相談、②現地面談、③新規申請、④立ち入り検査、⑤廃止と許可証GET、そして⑥県への申請、今日は⑥で「新しいコード票はいついつ投函されます。電話での問い合わせは、いついつの9時以降にお受けいたします・・・」
これでもう安心だ。明日から引き継いだ後続部隊が続々とそこに派遣されるのである。
刺身をオーダー、お品書きの右から平目、真鯛、本鮪赤身、赤はた、すみいか、
「にぃ、にぃ、にぃ、にぃ、よん」
「イカだけ倍ですね。カツオもありますけど」
「あ、それも入れてください」
6品盛りがひと品増えて、7品盛りになったぞ。
「終わったの?」
「ウン」
「お疲れでした。タイヘンだったね。で、アタシの話してもいい?」
ズルズルズルッ、ズっこけた音、
何だよ。今宵は私のお疲れ会、慰労会じゃないのかい。そういうのを聞かなきゃならないのか。勘弁して欲しいんだけどなぁ。
じゃぁ仕方がない。私は自身の達成感を脇に置いといて、ジャン妻に併せて愚痴じゃないけど憤懣を語るしかないじゃないか。
内容はジャン妻に今日起きた奇禍でもないのだが、困ったちゃんネタだった。
在宅勤務が可能なら週2日に調整されたのと、ホントはその日は出る日なんだけど往復の通勤時間がもったいないのでもう1日在宅勤務させてくださいってのと、在宅での時間外勤務の是非と、時間外が個人の生活給になっちゃうのと、上から、「そこまでやらなくていい、それ以上は趣味の領域」なんだか聞いてて疲れる内容だったな。
正直こっちは疲れてるのに。自分の業務的には解放感があるのに。
生返事だけしてるとジャン妻はキッとなって、自分で切り出したクセに私の慰労会が台無しになりかねない。聞きながら、口を挟まなくてはならない。
「在宅勤務を増やす、出勤社員を減らすことで経費節減になって、上の者の評価が上がるってわけ?そういう会社のネタを知ってるけど」
「そうではないわよ。そんな会社があるの?」
「今もそうなのかどうかはわからないけどな」
結論なんか出ないですよ。今日はこういうことがありました、だけで終わりです。
突発した緊急案件が片付いたので私は通常業務に戻る。戻るにしても後任の育成、引継ぎに繋がるのだが。ちと困ったことが。
13人いる部下たちで、私が後継者筆頭候補に考えてた者が退職になるのと、他2名も退職、1人が転勤になってしまった。13人のうち4人欠は痛いな。
2人は補充される予定なのですが、私が引き継ぐには全くズブの素人なのでまたイチから教えなきゃならないのだよ。
会社上層部は私の業務継承について真剣に考えてくれてるのかなぁ。そうじゃないならもう引き継がないで「では、サラダバー!」バイチャしちゃってもいいかなって思うようになっちゃってね。
いなくなったらなったで、残る者が、いる人間がやるしかない。やればいいんだからな。
「それでもいいんじゃない」
「精度は雑になるだろうな」
おでんも単品が書いてあったので、手作りがんも、じゃが芋、玉子、ふろふき大根、手作りイカ天ボール、
「これも全部、にぃ、で」
そしたら何のことはない、盛り合わせになった。
「ジャガイモ追加でもう1個食べたい」
「おやめなさい。でもマイブームのようね。何で?」
「何でって・・・」
何でだろうな。ジャガイモが食べたい気分なんですよ。敢えて理由を挙げるとしたら、今、改築中の実家の建設業者が北欧スカンジナビア国旗の会社なんだけど、どうせならその国の文化を知ろうと思っていろいろググってたら食文化にジャガイモがあつのだよ。
「あの辺の国ってのは寒冷地だから、寒さに強い野菜栽培だとジャガイモが欠かせないんだって。それを読んだせいかもしれないぞ。」
「そういう理由で?」
お品書きにはないけど、ここに移転する前にいた場所を文字って、虎ノ門スープと呼んでいる逸品、
マスターと目が合った。照れ笑いしている。
「何か今、オモシろいことやってましたね」
「見ました?」
「見た。だって目の前だし」
ガスレンジの上におでんの大皿を載せて直火で温め直そうとしたんですよ。そしたら安定が悪くて、ガタッと傾いてアヤうかったのだ。
真鱈の白子ポン酢、
「前はこういうの見向きもしなかったクセにぃ」(ジャン妻)
前はこれのプニョプニョした食感がイヤだったんだよね。今は大好きだ。白子もそうだが、イクラとかタラコとか、好きになっちゃってねぇ。齢を重ねると嗜好も変わるもんだね。
木耳と三つ葉の玉子焼き、
大船の和風玉子焼きに似てるな。スパムステーキの店でも。
これで満腹になってしまい、お会計お願いしたら「もうお帰りですかぁ」マスターが子供みたいなふくれっ面をしたよ。
地元駅に着いたら、
「久々に(スナック)行ってきたら?
日々の晩酌以外に二次会=歌=スナックは抱えてた案件が片付くまで避けてたたのです。ストイックだからね私は。
ジャン妻は先に帰った。スナックのドアを開けようとしたら、背後から「ジャンさん」声がかかって振り向いたらママだった。
「久しぶりじゃない。どうしてたの?病気かと思って」
1ヶ月半ぶりです。
「1ヶ月ぶりでも声出るじゃない。変わらないわよ」(ママの営業トーク)
スナックでは95点以上をマークすると曲名と名前が書きだされるのです。
上手い客の名前&曲名カードは床に届かんばかりである。気持ちを込めて歌うより、音程に忠実に静かに歌う方が点数に繋がるみたいだ。
でもそれじゃオモシロくないともいえる。私は1枚で1回だけです。それも2年連続で同じ歌なんですよね。