2023/10/07
夏の建築現場
家を出て、最寄り駅に向かう途中、知らない人の家の新築現場の前を通る。
若いのが数人で基礎工事をしとったが、ラジオかラジカセ(まだそういう機器あるのか)でガレージロックをガンガン鳴らしながら作業しておったよ。
その町内は生活ルールに厳しい界隈でプライドが高いと聞いたことがある。私がかつて参加していた町内会自治会の隣なのだが、ウチの町内会も気を遣ってた。
あんな大音量でガンガン流したら近隣から苦情が出るは必定である。都会の工事現場じゃないんだから。暗騒音が無いんだ。
そこの住民でない私も顔をしかめた。工事の騒音なら隣人も「こういうときはお互い様」だがBGMは余計であろう。まだニッポン放送とかのラジオ放送の方がマシだと思う。
その先、駅に近いところにもう1か所、工事現場があって、そこでは2台の重機で解体していた。作業員は3人でいずれもどっかの外国人、お国は何処かなぁ。日本人の親方、監督者はいなかった。
台風や大雨の影響で、差し迫った厳しい工程をクリアせんと勤しんでいた。
そこから最寄駅まで徒歩数分で駅の向こう側、地図で見ると南側へ2つ隔てた町にジャン実家の工事現場があるんだけど、まさかウチの工事業者もあんなデカい音量でBGM流したりしてないだろうなと危惧した。
別に外国人労働者でもいい。私は偏見はない。ただ、静かな住宅地なので、BGM流したり、何処の国かわかんない言語でうるさく喋ってると耳障りかもしれない。
そんな懸念をすることで初めて工事現場を見に行こうじゃないかという気になったのよ。出勤前だが、どっかに直行すれば取り戻せるしね。
私は地縄以降、現場を見にいっていないのです。
https://junky.fc2.net/blog-entry-131.html
出勤途中なので徒歩です。くるまじゃない。くるまで行ってもおそらく敷地内は泥だらけだし、作業車が入ってるだろう。
暑いので駅チカのコンビニでペットボトルを購入して差し入れることにした。
植木職人でも電気屋でも、ジャン母は必ず何かドリンクを、御茶菓子を用意していましたね。私に買いに行かせたりもしてた。お茶でもいい。リポDとかでもいい。
コンビニでペットボトルを8本、柿の種を2袋、買った。
「袋はご要り用ですか?」
見りゃわかんだろーが。
「要るね。重たいからね」
相手はマニュアル通りに言っただけである。「袋はご要り用ですよね?」になったら押し付けるのかと誤解され、客によってはヤバい展開になるからだろう。
4本ずつ、2つに分けて持って歩いた。2袋以外に己のカバンもあるんですよ。重かった。
何で8本買ったのか自分でもワカラン。人数分足りないより余った方がいいだろうと思ったのと、8本が限界で、10本は持てなかったのもある。
炎天下を実家の現場に向かって歩いた。
いつも言うけど、
「カボチャが馬車になって馬車だけ見ればいいんだ」、
女性建築士がCD、3Dでイメージ図を見せようとしたときも固辞して見てないのです。
建築士さんは、施主のクセにこれから建つ自分の家がどんなのか見ようともしない、興味を示さない私に消沈したかもしれない。
もっともジャン妻が私の知らない部分を含めてイメージを掴んでいるので、工事上の心配はしていない。
イメージ図を見たら見たでまたあーだこーだ言ってしまうだろう。いや、じーっと黙ってるかもしれないな。でもイメージ図を見せられても描かれているのはウチだけで、お隣さんとかは描かれてないから実際と乖離していると思う。ダダっ広い草原に1軒の平屋が描かれているだけだろう。
「お隣さんが写ってねぇじゃねぇか。こんなんじゃわからん」
余計なことを言ってガッカリさせるだけである。
そういう余計なことを言わなきゃいいのだが、このトシになって、どうも何でもかんでもクサしたくなる困った性(サガ)が出るようになった。
藤沢周平さんの晩年の作品「野菊守り」の主人公、斎部五郎助みたいである。五郎助は初老に入って心中に抱えた鬱屈したものが表に出るようになった。何でもかんでもクサしたくなる。
私も冷笑癖があって、周囲が持ち上げても「バカじゃねぇのか」とクサすのである。思うだけではなく口に出るのです。
「それではこれで今日の何々は終了します」この何々が、MTGだったり説明会だったりする。散会になったタイミングで立ち上がり「くだらねぇ」口に出てしまう。
女性社員が土産のお菓子を持って来ようものなら、
「いらねぇ。そんな甘いモンが喰えるか」
私の嗜好を知らない?女性社員かアイスクリームを「食べませんか?」薦められたら、
「いらねぇ。アイスなんか喰ったら後で喉が乾くだろ」
こないだなんか、外出しようとしたら女性社員が、
「行ってらっしゃいませぇ」
「うるせぇな!」
言った子はビクンとすくみあがっちゃって。
「そんなん言われなくなって行くさ。行きゃいいんだろ行きゃ」
そう言い捨てて出た後で、さすがに自分でも今のはどうかなぁと思ったが。どーにもならんな。
このままだと嫌味な老人になる。いや、もうなりつつあるのだ。
それでもこうして重たいペットボトルを下げて持って行くだけまだマシだろ。
ところが、現場に行ったら、
職人さんがひとりしかいなかったのである。
「ここの〇〇だが」
「あ、施主様でいらっしゃいますか?」
いらっしゃいますだと?
施主=セシュです。セヌシではない。そう呼ばれるなんて初めてだ。セシュなんて知らなかったし。
「暑い中ひとりでやってんの?」
この横柄な言い方もよくないけどね。
「ハイ、基礎工事はひとりで充分なので」
なぁんだ。8本も買ってきたのに。建築会社め。人工で下請けさんの上前をハネてんじゃねぇだろうな。人数増やしてサッサと進めればいいのにと思った。
しょーがない。両手にブラ下げたペットボトルを渡したのよ。
「8本あるのと、塩分もあるから」
塩分てのは柿の種のことね。そしたら困惑した表情になって、
「あの、ひとりなので、こんなにいただいても」
ひとりぃ?
仲間はどうしたっての?
こっちはひとりでやれなんて言ってないぞ。
そこは言わないでおいて、
「でも持ってきちまったし。これから自分も出社だし。持ってらんねーし」
「ですよね。では、いただきます」
困った風だった。有難迷惑だったかもしれない。トラックの中にクーラーボックスがあって、その中に入れてた。
そしたら前の道を行ったり来たりしていたトラックが諦めて路駐して別の職人さんが下りて来た。先に私の差し入れを受け取った若い職人さんと打ち合わせしてる。それはいいけど、今、渡した差し入れをお裾分けしなさいよ。
「あのさぁ」
2人がこっちを向いた。先の若い職人さんが後からきた職人さんに「こちら、施主様です」と言った。ついでながら言うと、施主ってのは葬儀や法要の当主(喪主)もそういうけど、今回の私みたいに建物の工事を発注した人を指すんだと。
家なんか何回も建てないし私も初めて知った。建築主、発注者でもいいと思う。業者さんや職人さんが建築主様、発注者様と口にし難いのもあって、慣習的に施主様と呼ぶんだろうな。
「今、そちらに渡したドリンク、彼にも分けてあげてくれないかな」
「あ、ハイ」
自分だけで独占すんじゃないと言ったようなものだが。私は最初に声かけした職人さんひとりに進呈しにきたんじゃないぞ。
でも随分と腰の低い職人さんだった。ここに来るまでに私が見た柄の悪い職人ともどは違う。なるほど満足度ナンバーワンの実績を誇るだけあって、質のいい職人を抱えてる業者を選んだんだろう。
お隣のピンポン押した。
ジャン母の生前、お隣の奥様にはお世話になったのだが、この日に訪ねたのはちと相談があってね。
「いい業者さん使ってらっしゃるわね」
「いい業者さん、ですか?」
「言葉使いも丁寧だし。いるんですよ。ウチんときなんかもう荒っぽくて」
昭和後期、平成初期の頃は、昔ながらのこういう大工さん?
だが、今、ウチを施行している職人さんたちは、こっちのイメージに近いらしいのだ。
後で登場しますが、現場監督が小柄な若い?女性なんですよ。
8月の盆前ですが、施行業者からジャン妻にメールで中間報告がきていた。
『お世話になっております。
本日で夏季休暇前作業完了致しました。
添付の写真は型枠組までのものとなり、現在は型枠が外れ土が戻されている状態となります。
明日よりスウェーデンハウスの工事部門も〇〇日まで夏季休暇となります。
夏季休暇明けは少し時間が空き、〇〇日より作業開始で、基礎外周部の水道配管作業となります。』
お世話になっておりますね。
「お世話してるよ。早く建てろっての」
「だからぁ、時間がかかるのよ」
盆明けにジャン妻が見にいったのがこの写真です。
この日は私も在宅勤務で家にいた。ジャン妻は非番で、朝イチの診察の後で現場を見に行った。
その脚でウン十年お世話になっている地元スーパーに行って鮮魚と肉を購入したのだが、ミートショップで店内で手作りしている弁当があったので、
「お弁当買ってく?」
私はそのラインに気が付かなかったので返信しなかったのよ。そのミートショップ、前は安い肉しか置かなかったんだけど代替わりして、A5クラスの牛肉、鹿児島黒豚、何とかイワイドリとかいいのを置くようになった。店で揚げたり焼いたりしてる惣菜もよう売れてる。
いつしか弁当も置くようになったので、ジャン妻はミートショップの若ママにススメられて購入してきたのがこれ。
そりゃミートショップだからとはいえさ。肉ばっかりなんですよ。
バラ肉、トントロ、野菜なんて殆ど入ってない。ジャン妻が野菜入り汁物を急遽、用意したけど、時間が経っているので肉の脂が固まり、私的にはイマイチだったな。
工事現場の職人さんたちも、朝、コンビニで弁当買って、
「昼にこういう冷えたのを食べてんのかね」
「家族の手作り弁当かもしれないでしょ」(ジャン妻)
豚トロ、あまり好きじゃないんだよね。食感が。噛んで噛み終わる頃に旨味が出きって「美味しい」と思うけど、脂が気になる。
「家、まだできてなかっただろ」
「・・・(それには答えず)・・・行ったら2人でやってた」
「ふたりぃ?」
「この後、いよいよパネルをはめ込んでカタチになってくんでしょうね」
「遅ぇなぁ。秀吉の一夜城みたいにひと晩でできんのか」
「!!!」
業者との折衝はジャン妻に任せっきりの私ですが。
私が担当する事項もあるのです。たいしたことじゃないが、近隣住民と話し合わなくちゃならないのだ。でも現時点で私らはジャン実家から離れてるので、町内会班長さんを通すことにした。これについてが目途がついたら書きます。
基礎工事が終了して、壁、屋根の元ができてから上棟になるそうです。
こうやってBlogに書いてますが、最初は「上棟って何だ?何するんだ?」意味を全くわかってない私です。
支店長さんに言われたことがあって、
「基礎工事は見てもつまらないですが、壁や屋根の工事はお時間あればいちど見てください」
そう言われてもなぁ。私だって日中は仕事なんだよ。私をご隠居とでも思ってんのかな。
「気が向いたら見に行くよ」と煙に撒いた。見に行く気はあまりない。クソ暑いのに見に行ってボーッと突っ立っても私の強い視線は業者さんにとってはウザイだけだろう。
だが気分屋の私は「ネタ拾いに見てやるか」そう思って晩夏の頃に見に行ったのよ。
そしたら、
ウルトラ重機?
「まさか、小型の重機でしょ」(ジャン妻)
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