2023/10/18
なべや
ジャン妻が上長と食事会へ行った。その上長は私も知ってるし、同席したことも数回あるが、今回は今後の去就も絡んで生臭いネタになりそうなので私は遠慮した。
ジャン妻は遅い時間にホロ酔いで帰ってきて、美味しかった、いい店だった、アタリだった、酔った口調で吹聴しまくりだった。
翌日もジャン妻はその店を誉めまくりである。自分で検索してヒット、ビンゴだったようだが、こっちはその店を知らないの。気になる。
「私も連れてけ」って要求、週始め月曜に予約入れたのよ。電話じゃなくてネットで予約したの。この店は昼は電話に出ない、出難い店らしいんだな。
飲み屋街なんだけど、トテモわかり難い場所、路地にあった。前Blogで取り上げたことがある有名な中華蕎麦、平子煮干蕎麦「纏」に背中を向けた建物の路地です。
何となくあの辺りかな~と記憶を辿りながら向かった。ジャン妻も先週行ったのに覚えていないようだ。私は方向オンチではないつもりだが、ひとりで薄暮を探したら見つけられたかどうか。
客引きも少なくないし狭い路地なので逃げ場がないぞ。
でも誰も私に声をかけないのは何故だ?
店は旧い雑居ビルの2階だった。
路地にあったメニュー、
かなり急な階段を上がるのです。
ギシッ、ギシッ、と音がした。
「予約の〇〇でぇす」(ジャン妻)
カウンター6席、奥に4人掛けのテーブルが4つくらい。
親父さんと娘さん2人で営っていた。
「あれ?先週もお見えになりましたよね?」(店主)
「ええ、全く同じこの席で」
「そうなのか?」(ジャン)
「そう、アタシはここ。上長さんはアナタがいる椅子」
コースも同じ肉肉コースで、
「鶏、豚、牛、全部出るわよ」、
アラカルトもあるらしいが少ない。ひとりで調理している店はコースの方がこっちも気楽だからね。
「多分アナタも気に入ると思う」
ジャン妻の鼻が高い。自信満々である。
里芋煮、刺身蒟蒻、いきなり超美味です。
里芋煮はドロドロに溶けてないのに出汁が沁みてる。
お次のつくね汁にも唸った。これいい。塩味。前半で汁ものが出るのは悪酔い防止か。にゅう麺でも入れたら更に美味ぇだろうなぁ。
このでこぼこ、つぶつぶ、不格好、手造りの証です。
お造り、4品、マグロ、ワラサ、ヒラメ、甘エビのデカいの。
「ワラサはぁ、ブリの大学生くらいでぇす」(スタッフ)
「大学生?」
ややハスキーなお声は今はない上大岡の串焼き屋にいた子に似てるな。
肉肉コースなのに刺身が新鮮で、ツマは切り立て、シャキシャキだ。
さて、次は肉が出てくるのかと思ったらトテモいい意味で期待を裏切られました。かき揚げが出てきたの。
サクッ、フワッとしてます。
立ち食いスタンドのペシャッ、フニャン、シンナリ、揚げ置きのかき揚げばっかり食べてるから新鮮です。揚げたてだし。
「前回は何を飲まれましたっけ?」(店主)
ジャン妻はあまり覚えてないらしい。2人でいろいろとチマチマ飲んで、その中に銘柄は忘れたが会津の何とかっていう希少なお酒を頂いて、今日の会津酒のオススメには、飛露喜、國権、宮泉だったかな。
その話の流れでわかったのだが、店主は会津のご出身なのだ。個人情報なので極力控えますが若松市内の某有名高校のご出身であらせられる。
だからって戊辰ネタなんかしないですよ。ここは「麦とろ」じゃないんだから。
ウチは日本酒を会津湯野上の酒屋さんから取り寄せてる。その話をしたら、
「ああ、あの先っぽにある酒屋さん」
確かに先っぽ、店の前の路地と鉄路に挟まれ、踏切に面してるからね。W酒店のことです。
ところが、ここからほど遠くない場所で前にいちどだけ行った会津嗜好の居酒屋、そこは店主が無愛想で私がメニュー見ないで馬刺、こづゆ、鰊山椒、そこまでいってやっと「アナタ会津の人?」会話してくれた居酒屋、確かマッカーサー道路近くにあったな。鯨汁も食べた。店の名前は会津の柿の名前です。その居酒屋と、若松市内の有名な某居酒屋にはカオをしかめてた。あまりいい印象がないらしい。
「アタシが出た学校は日清館の近くにあって・・・」
日清館が現在の観光地なのか、会津藩時代の場所かわからないが、会津出身者の高校の上下関係、先輩後輩の関係って社会に出てからでもシビアらしいのが伺えた。
では甲賀町口門、石垣の裏にある「麦とろ」この店はご存じなかったが、拙Blogの馬刺の写真をお見せしたら、
「これ、ちゃんとした肉を仕入れてますね。これ、いい肉だワ」
「麦とろ」はもとは焼肉屋だったからね。それがK牛病で居酒屋に鞍替えしたのよ。
話の流れで久々の「花泉」であります。ただこれ濁りなんです。真っ白、
20数年前、「花泉」を知った最初の頃はなかなか手に入らなかった。それが出回るようになったのは、湯野上の「先っぽの酒屋」店主いわく、
「前は南会津で消費してたのが、呑兵衛が死んで、流通するようになった」、
「麦とろ」の店主が言うには、
「若松市内の酒屋は、はないずみぃ?何だそれ?って相手にしなかった。後で知られるようになって入れてくれないかって頼んだら、前のことを根に持って断った。良くも悪くも会津人はそういう仕打ちを忘れねぇんだ」
私らも嗜好が変わって辛口を好まなくなり、花泉から離れて、会津娘、宮泉、名倉山、燗酒では国権に変えた。
久々の花泉が「お見限りね」「冷たいわね」「他にいいのが見つかったんでしょ」「酔わせてあげる」そう言ってるようである。
おんな城主直虎で本多正信を演じた六角精児さんが「酒と鉄道」をテーマに旅する「呑み鉄本線・日本旅」90分スベシャル、奇跡の全線復活、運転再開した只見線で花泉酒造も出たしたね。(語りは壇蜜さん)
すみませんトテモいいコンビネーションなので2人揃ったところを1枚だけ。
「2人は父娘かな?」
「いや、親子じゃないと思うわよあの会話だと、もとお客さんじゃない?」
2回めの訪問でわかるのですが、女性は「社員でぇす」だそうだ。駅前のニュー新橋ビルに姉妹店「佳什」があって、そことの兼務らしい。
豚肉ソテー、これはメニューとしてはサラダの位置づけらしい。
それでいてブ厚いバラ肉が載ってる。
信玄鶏の焼き鳥、串に刺してない焼き鳥、
何とか牛肉のソテー、肉の旨みもいい。ソースも美味しい。
コースはここまでなんだけど、
「他に何かあれば」
アラカルトで追加は可能らしいです。なので、
「じゃぁ、アンコールでつくね汁」
「いくと思った」(ジャン妻)
右のロックグラスは焼酎「玉露」です。お茶じゃないですよ。
ジャン妻はこの「玉露」が気に入り、とうとう家でも購入しました。
だがこの焼酎、私はガーンときた。どうも力強い味と香だと思ったら生だったのです。
お客さん混んできた。月曜なのに。カウンター席でよかった。奥のテーブル席は騒がし・・・いや、賑やか。4人と8人、それぐらいでいっぱいなところへ電話が鳴って、
「早い時間ですと8時半になりまぁす。・・・すみませんまたお待ちしています」
お断りになったんだけど、もうしばらくして架かってきた電話の客は入れ替わりに入れたので、こういうのはもうタイミングと運不運しかないようである。
ただ、混んでも、コースが主体で、複数客とだいたい同じ流れで料理が出るので、待たされた感は全くなかった。
後半はあまり覚えていない。会津談義で花が咲いたマスターも店が混んできて調理に忙しくなったので、私らはこの店を知り得た「ジャン妻と上長の食事会」そのときと全く同じカウンター席にいるので、会話の内容と今後の展望について話したんじゃなかったかな。
「足元お気をつけてぇ」
娘さん(じゃないと思うけど)が下まで見送ってくれた。こんな急な階段を。転げ落ちた酔客もいるんじゃないのか。
「どうやって開拓したのさ?」
「レティっていう食べログみたいなので」
「レティ?ワイスピか?」
「何?」
「いや、何でもない」
(レティ?ワイルドスピードの登場人物のことかと。)
ジャン妻は紹介した店が私に好評で自信満々である。
だが実際そうで、お通しの小芋&刺身蒟蒻、つくね汁、造り4品盛合せ、かき揚げ、厚みのある豚バラ肉サラダ、信玄鳥炭火焼き、リブロースステーキ、全部が全部美味でハイレベルだったという。
値段?価格は触れないでおこう。飲み過ぎたし。
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コメント
No title
店名が「なべや」たから、
出てくるお料理もお鍋かと思いました。
おいしそうですね。
特につくね汁 (^-^)
良いお店を開拓できて、よかったですね。
2023/10/18 12:57 by くまねこ URL 編集
No title
店の名前は店主=マスターの苗字を捻ったらしいです。
○辺姓かもしれません。
私も鍋かと思ったのですが、そうじゃなかった。
開拓したのはジャン妻の勘です。私より鋭いです。
おかげで黒板メニューの店他、これまで行ってた店への訪問回数が減りました。
2023/10/18 17:29 by ジャン URL 編集