2023/11/16
日本一
武蔵新田駅前、発展門の袂にある「ラーメン日本一」、
疑わしくも笑ってしまうこの店名は、
「大きく出たのよ。日本一って名前にすれば忘れないでしょ」
飄々としたオヤジは会計を済ませた私にそう言ったものだ。
なので、決して日本でいちばんラーメンが美味しいとか、グランプリとか、チャンピオンとかの意味ではない。
優良誤認誇大広告でもない。単に「日本一」という名前なだけである。
日本一でも東京一でも、大田区界隈でいちばんとかそんな個人主観に関係なく「ウチはそういう名前なんだ」といいうことだ。堂々と「日本一」と掲げているだけです。
だけど名前を聞いただけなら行きたくなるでしょう。
そういう人って最初は殆ど誤解じゃないかな。行ってみて初めて「冗談かよ」って気が付くだろう。「天下一」とも違う気がする。
こういう名前の店だからって店頭に行列ができるわけでもないのでご安心を。そんなことになったら踏切の袂だから通行に支障ができてしまう。
店はラーメン専門店ではない。町中華です。今日はディスプレイにあるこれいきます。
プライスが2つあります。890円と990円、890円はランチタイムで、990円はランチタイム以外の値段です。
10年前にこの店を間違って知り得て、初の生姜焼きはメニュー下にある990円を指して、
「これにする」
「こっちの方がお得だよ。こっちにしなよ」
冒頭の飄々オヤジはランチタイム枠の890円を指したものだ。何のこたぁない。今の時間帯ならこっちの値段で100円安いよというだけのことである。
味に期待はしない方がいい。味よりボリュームです。目玉焼きもついてきます。
こっちのセットもプライスが2枚ある。100円差額は生姜焼きと一緒です。私は10年前に最初にこれを食べたが、湯切りが甘く、トッピングも遅くモタモタしていて、添えられる揚げ物が揚げ上がるまでラーメンはそのまま放置状態だったのを覚えているよ。オペの遅さと放置状態のラーメンを見て目を覆いたくなったが、麺がコシのあるタイプで伸び難いのが功を奏してグニャグニャではなかったのだ。それを摩訶不思議に思いながら食べたものだ。
店員は年配男性が厨房に3名、冒頭で触れた飄々オヤジと、昔からの相棒である小柄で小太りなオヤジ、かっては2人してあまり笑えない漫才コンビだったが、今は3人目が加わってトリオになっている。
いちばん若いオヤジが手前のレンジの焼き台をゴシゴシ拭いて油を敷き、丸い輪っかを置いて、そこに生卵をポトッと落として蓋をした。
奥にいる小柄で小太りなオヤジが冷蔵庫から豚肉を取り出した。
真ん中にいる飄々オヤジは茄子をカッティングして油通し、素揚げしてから小柄小太りなオヤジに茄子を渡して自らは真ん中のレンジ前に立ち、肉と玉ネギを炒めにかかった。
ナスを受け取った小柄で小太りオヤジは肉ナス炒めに取り掛かった。メニューに「ナスを味噌でやさしく絡めた」エロいコピーが描いてあるあれである。
タイマーが鳴った。目玉焼きが焼き上がった。手前の若いオヤジは目玉焼きをいったん別皿に移し、キャベツを盛ってジャーのご飯をかき混ぜている。
飄々オヤジは私の生姜焼きを炒めてオタマで肉を取りこぼさないよう皿に移した。その所作で笑えたのが、落とすまいと慎重なのである。「まだ残ってた」とばかりに中華鍋の端っこにひっついた肉かタマネギを削ぎ落すように拾い上げてた。
移した皿には既にキャベツの千切りが盛ってある。若いオヤジがそれに目玉焼きを載せてジャーの蓋を開けてご飯をよそった。
私とほぼ同時に隣の客に出された肉ナス炒めをチラ見したが、やっぱり私の生姜焼きの方がボリュームがあったね。
でもこれって、生姜焼きなんだけどプロの作品に見えないのだ。タレがついてなくて白っぽかったり、火が通り過ぎてたり、縁が焦げてたりする。
焦げてる肉は飄々オヤジが見落としかけた中華鍋にひっついていた最後の切れ端ではないかな。
キャベツには生姜焼きのタレが浸かっているのですが、マヨが欲しいところではあるな。
玉ネギのカッティングも雑で、芯の部分が重なって出てきたりするからね。
まるでどこかの高速のPA、フードコートで出される素人感丸出しの生姜焼きに酷似している。
でも逆にそれが良かったりして。
驚くことにキャベツは他所の店みたいに生姜焼きの隅っこにしか添えてるのではなく、皿全体に敷いてあった。生姜焼きの下からも出てきた。
だからやっぱりキャベツにマヨが欲しいところではある。マヨ=玉子だからそれでいいだろってことかな。
味噌汁は豚肉に入ってない豚汁みたいなまろやか味です。
おや、客足が止まって、3人ともまったりしてるぞ。
そしたら奥にいる小柄小太りなオヤジさんが「あいっ、てっ、てっ、てぇ~」素っ頓狂な声を上げた。
うっかり素手で何か尖ったものに触れたらしい。茹でるダボかもしれない。
だが他の2人は心配するでもなく知らん顔であった。
3人ともにこやかな客対応ではある。前は古参で背の高い飄々オヤジが相棒の小柄小太りなオヤジを上から見下ろしながらボソボソ突っ込んで、小柄小太りオヤジは斜め上に見上げてムッとしたりしてたが、今は3人めが加わって前より仲が良くなった?
2人より3人めの効果は大きい。緩衝材になるからである。
10年ぶりに再会して2回めの訪問である。3回めいこうとしたら、突如として振って湧いた遠方の案件で、私は大田区の案件から離れて東京湾を渡ることになるのだが。
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